Simらしのなく頃に+Oblivion日記

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1

OBLIVION日記MOD編その84

クエスト名「The Dungeons of Ivellon 7」
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バラックの探索を終えRuined-Tailと私は下の階層、牢獄区画へと降りた。Ivellonが健在な時代、一度入ったら出ることの叶わぬ屠殺場だけあって襲いくる亡者の数も段違い。


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出るわ出るわ、アンデッドと呼ばれる怪物がかくも多様な存在だとは思いも寄らず。Cyrodiilでは絶滅したはずの屍鬼たちがワラワラと湧いて出る。
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日夜血塗られた拷問と実験に明け暮れ、囚人の悲鳴を絞り尽くした拷問器具が並び、数十もの牢は所構わず白骨が散乱していた。貼り付けにされたまま逝った者達は嘲笑うかのように口を開き、怨念の篭もった暗い眼を向けてくる。暗い過去では引けを取らないRuined-Tailも余りの惨状に呻いた。



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「…怖ろしいところだな」
「まぁね。一応、皆犯罪者だから」
目を背けたくなる相棒の気分は判るが、囚人のほうも大半が同様の事をやってきた連中だ。憐れんでも詮無い。
「この時代、エルフや異教徒に対する憎悪は凄まじかったのよ。悪魔同然だと修道会は根絶やしにする気だったし」
「同盟者にもAyleidがいたのにか?」
「あら、よく知ってるわね」
「Black MarshのAyleidは難を逃れたからな。今でも子孫がいる」
「東海岸だっけ、移住先は。Herminia Cinnaって学者先生の話だとAyleidは同族意識が低くいんだそうよ。殿様達は始終喧嘩ばかりしてた。敵の敵は味方ってね」

その反乱に協力したAyleidたちも女王の死後、待ってましたとばかりに原理主義者たちが排斥運動を起こしてCyrodiilから追い出した。打倒エルフを掲げた帝国の長い戦争の歴史が始まるわけだが、エルフたちの本国、 SummersetやValenwoodではエルフ同志の戦争に忙しく、Cyrodiilの田舎猿のことなぞ構ってる暇がなかった。帝国がSummersetを陥落させるのは2ndEraの末期、征服王Tiber Septimが人造神Numidiumを持ち出すまで待たなくてはならない。



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所々で生前は審問官、つまり拷問役だと思われる亡者と出会った。うち一人が手紙を持っていた。


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“新顔には二三、説明を要するだろう。貴官は同情もしくは憐憫とは無縁、故にその役に選ばれた。むしろ地下牢のど腐れ外道を苦しめ、根絶やしにすることに大いなる興味を持っている。貴官も知っての通りだが、前任者は異なる見解を持ち、為に職務を果たすことができずに更迭された。彼よりも良い働きを期待する。

特別誂えの毒は倹約するように。我々の物資には限りがあり、補給も同様だ。

職務中は前掛けの着用を義務づける。非常に汚れやすい。

貴官の囚人が死亡した場合、ただちに聖堂へ運ぶように。責任者はHieronymus。いささか神経質だが、善良で忠実、有能な戦士だ。彼と彼の特異性を認めよ、さすれば貴官は誠実な同盟者を得ることになる。でなければ貴官はそう長い人生を望めない。すでに述べたように彼は風変わりな習慣を持つ。彼を呼ぶ場合はハンマーで鐘を叩け、2:1:3:2:4:5の順だ。その後、Hieronymusが遺体を拾い、聖堂へ運び込む。

間違うな、また死体を牢獄内に長時間放置せぬように。その悪臭は貴官と貴官の同僚の忍耐を越える。

囚人を侮ってはならぬ。少数だが、いまだ相当の力を持つAyleidが存在する、今日でも”



「鐘で呼び出す?」
「聖堂へ降りる通路は常時閉鎖してあるんだろう」
「呼び出して向こうから開けて貰うわけか。…Hieronymusって奴、死んでるわよね、とっくに」
「そうだろうな」
「もし亡者になってなかったら?」
「鍵は手に入らん。神に祈るか?」

砦就きの錬金術師Artephiusの蔵書、そのものズバリな『The Undead』にも書いてあるが、アンデッドと化した者は生前の習慣をトレスするケースが多い。思考する頭がないのでルーチンワークに陥り安いのだ。Hieronymusが亡者となっていれば鐘の音に引かれて顔を出す可能性は高い。

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もう一つ。死体を中庭で焼却処分にしていたのは亡者を警戒してではなく、悪臭対策と判明した。しごくもっともな理由。…でも、なんかおかしいわねぇ。Ivellonに入って以来、狙いすましたかのように尽く予想がハズレる。遠くでカナカナと鳴き声が聞こえてくるようだ。



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鐘は西の階段を登った一番奥の小部屋の隅で発見した。が、叩くハンマーが見つからない。試しに亡者どもの使ってる戦槌を振り上げたら「鐘がおしゃかになる」と相棒に止められた。



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南の階段、その長さが行き着く先を特別な監獄だと教えてくれる。


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「!」
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「しまった!」
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「骸!?」
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「こいつ!しぶといわねぇ」
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「おらぁ!!」





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彼は物言わぬ鋼の番人
死に逝く者たちを見張る

彼は飲まず、彼は食わず
息を殺して通りを護る

彼は痛みを知らず、苦にならず
彼が伝える秘密は何?


「帝国では謎々を詩と呼ぶのか?」

本人がそうだと思えば何だってアートだ。重装備の亡者の懐から出てきた一枚のメモ。謎解き大好き、謎々大嫌いなRuinは読み終わるとさっさと紙片を手放した。答え自体は簡単だ。砦のあちこちに飾られてる甲冑のマネキン、そのどれかに秘密があるらしい。
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「どっかその辺になかった?」
「いや…牢獄では見た記憶がないな。バラックか?いくつかあったぞ」
「“死に逝く者たちを見張る”とあるから監獄から下だとは思うけど…ここの探索が終わったら一応、戻って調べましょう。コインも100枚貯まってる。Stendarrの祭壇が使えるかもしれないし。それよりこいつね」
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監獄塔…地下で塔もないが、井戸のように掘り抜かれた深い螺旋階段の底に鎖雁字搦めにされた凄惨な死体。切り刻まれた全身から毒が漏れだし、なお笑ったまま立ち往生している。身分の高い者なのは間違いない。


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「誰かしら?手紙にあった“力ある”Ayleid?」
「む」
Ruinは訝しげな表情をすると、頭を骸に寄せた。
「…“儀礼用の短剣で心臓をさせ”?」
「え?」
「声が聞こえた…ような?」
「これで生きてるの?」
「いや、亡者だろうが…」
身体が動く気配はない。元殺し屋にも判断はつかず、言葉を濁した。
「もしかしたら不死化の術を施してあるのかも」
一部のAyleidは死霊術で延命を図った。以前、Lichと化した者と闘ったのを思い出す。不死化すると肉体は劣化をまぬがれるが逆に損傷は回復出来なくなる。不死といっても不死身には遠い。果たしてここまでボロボロになっても“生きて”いられるものだろうか。

拷問道具と一緒にHieronymusの鐘を打つハンマーが並んでいた。



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「入口、頼むわよ」
「心配するな。絶対に通さん」

呼ばれて飛び出て以下略な聖堂の番人、Hieronymusは強敵と予想される。重いハンマーを抱える私は後手を取らざるを得ない。襲撃に備え、敵をくい止めるべく部屋の入口に陣取った相棒へ「私を護ってね(ハート)」と愛情一本を送り、鐘に向き直った。
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「…」
「…」
「…」

「…どうした?」
「このハンマー両手持ちなんですけど」



ハンマーを持てば松明が持てない。松明がないと真っ暗闇で鐘が見えない。目敏いRuinが解決策、壁に松明を見つけ仕切直し。


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「いい?叩くわよ」
相棒が「任せろ」と頷くのを合図に、左から2番、1番、3番、2番、4番、5番の順で叩いていく。見かけより澄んだ音が鳴り響いた。
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余韻の消える間もなく周囲に冷たい霧がたちこめ、暗闇に赤い瞳が浮かびあがるや現れたのは二本角の異様な兜を被る骸骨大男。
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「フン、これは手強そうだ」
開き直ったか、少し頭のネジが緩んできたRuined-Tailが不敵な笑みで立ち塞がった。


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「ぐぁ!」
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「ムゥ…強い!」
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「ぅおぉお…」
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「くたばれぇええええ!!!!!!」

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「…なるほど。皆がチャンピオンを怖れる理由がよ~く分かった。他人を盾にしての弱体化呪文重ね掛けに五重複合呪文。人間なら軽く十回は死んでるんじゃないのか」

(私は)あっさり勝利したのに何故か不機嫌なRuined-Tail氏。“他人を盾”の部分を妙に強調する。
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「生きてる人間相手には使わないわよ。ビンゴ、こいつ鍵持ってる」

結構ノリノリで剣を抜いたものの、魔力ブーストの時間稼ぎ、盾、囮、身代わり、捨て駒、生け贄、召喚獣の代用…なんと呼んでも構わないが、ディスポーザブルに使われたと知って相棒は不満タラタラである。孤独な暗殺者はパーティプレイに疎い。

「格好良かったわよ、惚れ直しちゃった」
「…何?」
「確認、お願いね」
「…」
純情Argonianはフードを目深に被り直し、差し出された鍵を手にとった。


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聖堂へ降りる通路はすぐ隣。通せんぼしている鉄格子を開けるべく、Ruinは階段を降りていった。

「待って、Ruin」
「なんだ、今度はおんぶでもしろってか」
「見て、上」
「上?」

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「…物言わぬ鋼の番人」




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▲ by yamanobe26 | 2008-10-23 17:30 | Oblivion日記MOD編

BLIVION日記MOD編その83

クエスト名「The Dungeons of Ivellon 6」
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「まぁ、こんなもんだろうとは思ってたけど…」
「…」


Ruinは無言で顔を背けた。灯りを向けるとあちこちで来訪者を伺う瓶詰め頭の濁った目玉に出くわす。Artephiusの研究室は予想に違わぬ陰湿ぶり。


部屋中に主Artephiusが書き散らしたメモが残っていた。階段登って正面の机の上に二枚、本棚下段の隅に一枚、奧の机に二枚、開かない木箱の上から一枚。

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場違いに唯一つある燭台。Ruinが手を伸ばして引くと、満載の重量級本棚がギシギシと音をたてて動いた。開いたのは秘密の小部屋。
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ひと一人入れば満室、狭い隠し部屋の真ん中で大口開けて抜けた姿を晒すのは、砦就きの錬金術師Artephiusご本人。
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頭からニョキニョキと生える笠の開いた奇怪な突起物。…茸よね、どう見ても。



隠し部屋の収穫はコイン数枚、それに机と棚の上に置かれた二枚のメモ。




Artephiusはいかなる研究をしていたのか。残された計九枚のメモから判断するに毒薬だ。Ivellonで起きていたロクでもない事件のうち二つ、毒殺料理とアル中牧師Janusの乱心はこの男のせい。


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“今日、腐ったソーセージを使って森を出てきたBosmerをまた一人罠に掛けた。切り取った耳を揃えてBretonに売ってやろう。聞けば彼はまだ愛娘の誕生祝いを探してるそうだし”

“たった今、Eloweyrから荷物が届いた。白い粉の詰まった瓶をいくつか、Moonsugarと呼ばれてる。効果を調べる為、間抜けのデブ牧師Janusのワインに盛ってみる。Bittergreen Petalの一件以来、自主的に摂取しようという者は少なかろう”

“何もかも旨くいかない。最初に実験をしくじった。奴隷が床に血をぶちまけた。更にインク壷から墨がダダ漏れ。貴重な資料多数が廃棄処分になった。それでもまだ足りないのか井戸から飲み水をくみ上げてる最中、箱の鍵を失くした。
脳みそなしのBretonに蜥蜴の奴隷を使って見つけるよう頼もう。私はそんなことで悩んでる暇はない。現在、下の倉庫で何かあったらしく砦内は大騒ぎだ。…まぁ、どうでもいいが。とにかく実験だ、実験”


「いかれてる」
「我こそは芸術家なり、なんて気取ってる魔術師や暗殺者には掃いて捨てるほどいるタイプだと思うけど」
「…むう」
この手の実験を行う連中がどういう人間なのか、Ruined-Tailに説明は不要。摩訶不思議な毒薬研究で最先端をいくDark Brotherhoodと近しい、彼のほうがよく知ってる。

多くの毒は投与すると被験者が死んでしまう。ここならモルモットが豊富に手に入るわけで、背徳なArtephiusは好奇心の命じるまま人を殺めた。因果応報、彼は亡者を怖れていたようだ。アンデッドの図鑑と霊象に悩まされていると記したメモがあった。恐怖に駆られ、隠し部屋に閉じこもったあげく餓死したのではあるまいか。

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Ivellonが歴史から葬りさられた理由、その候補から怪しげな実験は消えた。毒薬の研究が国を挙げて隠すような秘密とは考えにくい。Daedraの介入は妄言だった。砦の日誌に記されたそれと思われる事情は地下墓地の行方不明事件を残すのみ。メモに奥付があればはっきりとするのだが、Artephiusは無関係らしい。墓地で死者が蘇り、砦を襲撃。そこで女王が軍に命じて砦を丸ごと掃討というお定まりの展開が思い浮かぶ。理屈屋Ruined-Tailも納得のシナリオだが、彼は異を唱えた。


f0049366_13453673.jpg「習慣でな。死体を見ると無意識に状況を考えてる。中央広間の兵士たちも皆、座して死んでいた。Artephiusと同じだ」
「…?」
「暗殺者でもあぁ旨くは殺れない」
テーブルに並んだ騎士たちは、ほとんどが生前の姿勢そのままで朽ちていたのを思い出す。
「軍や亡者相手に無抵抗は解せんだろ」
「…広間は閉鎖されていた。籠城だとすると、まさか彼らも餓死?」
「おそらく」
Ruinは首を縦に振り、ついで周囲を見まわした。
「いくつかの通路は落盤で塞がってるが、この砦が土中に埋まったのはいつなんだ?」
「日誌に中庭で死体処理と書いてあるから、中庭って外よね、当時はちゃんと地上に出入り口があったはず」
「妙だろ。籠城で餓死したのなら、あの日誌の残りを破いたのは誰だ?鍵は内側から掛かったままだったぞ」
にわか探偵再登場。彼はこの手の謎解きが大好きだ。
「亡者や軍でないのは確かね。でも私たちの前にここへ入った人間ならごまんといるわよ」
「何!?」
「別に驚くことでもないでしょ。トンネル工事の関係者、他にもいるんじゃないの」
Ivellonは所在不明でも上に建つCloud Towerは取り壊し論議が起こるほど有名だ。伝説の砦だと知らずに入る可能性はいくらでもあるし、酒蔵の隠し通路を見つけたのは私たちが最初とは限らない。但し。
「生きて出られた人間がいたかは怪しいけどね。うだうだ考えるより、Artephiusの木箱を開けてみましょう」

間に千年を越える時を挟めば過去は実質、何でもありだ。一昨日の昼食を思い出すような推理じゃ気合いが足りない。




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「おい!本当に飛び込む気か?」
「もち。Ivellonが壊滅した理由、知りたくないの?」


Artephiusが失った木箱の鍵は井戸の中。ねじ曲がる鼻を持たないArgonianでも底の見えない暗がりから立ち上る腐敗臭にたじろぐ。井戸は当然下に向かって伸びているから下層に降りればモアベター。「調査してからでも遅くない」と相棒は引き留めた。
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「確かに水は残ってるようだが、何が潜んでるか判らん。出口があるかどうかも!」
「信じてるわよ。その時は救出よろしく」

なおも言い募るRuined-Tailを残し、ポッカリと何もない空間に脚を踏み出した。
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スカッと重力が導くままに長い縦穴を急降下。

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ドブンと水柱を上げて飛び込み、振り返った水面は遙か上。水かさは充分、衝撃を吸収しダメージはゼロ。ついでに底を漁ってみるとコインが大量に沈んでいた。ラッキー。

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いるいる。井戸の壁が崩れた横穴に多数のゾンビ。
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横穴は狭い洞窟であっさり行き止まり。逆さに吊られた死体から目的のキーと転送の巻物が出てきた。井戸を這い上がる道はないので、戻るのに巻物の呪文を使う。


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帰還した私を待っていたのは、青筋たてたRuined-Tailの説教だった。



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「さっきの戦いだって、生き残れる気がしなかった。俺の計算だと闘えば闘うほど生存率は低下するぞ。遅かれ早かれ敵の誰かが幸運を拾うだろ」
「ラッキーパンチ?そんなの気にして闘える?」
「それが現実なんだ、違うか?闘う回数を重ねれば、それだけ生存率はゼロに近づく」
「学があるわね。じゃ、聞くけど私の生存率ってどのぐらいか判る?」
Ruinは言葉に詰まった。表向き私は不敗の英雄、現時点で勝率100%だから計算上は無限に闘っても死なない。勿論、彼の非難は理解してる。行動が場当たりすぎる、熟慮せよと言いたいのだ。

「教えてくれないか。君は悲観論者なのか、それとも楽天家なのか?」
分かりやすく言うと、自殺願望があるのか、それとも超がつくほど脳天気なのか?
「計算なんて持ち出すから混ぜっ返しただけよ。私たちは遺跡の調査隊?ノン、冒険者は冒険するのがお仕事」
全く反省の色をみせない暴力女にRuined-Tailは溜息をついた。
「正直、君のその態度はやがて苦い失望に変わるぞ。どんな不可能なことでも何とかなるなんて思ってると、いつか身を滅ぼす。まぁ、それも幸せな死に様かもしれんが」
苦言を呈するのは私の身を案じてのこと。その気遣いは素直に嬉しい。ただ同時に奇妙な違和感を感じた。

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「ありがとう。心配してくれるのは嬉しいわ、Ruined-Tail?あなたはどうなの?悲観的?楽観的?」
「どちらでもない。俺はリアリストだよ。最良を望むが最悪も覚悟する。だから全てがご破算になっても失望することはないし、全て望む通りになれば、期待しない分喜びが増すだろう。現実はグレーな領域だと考えるのに慣れてる」
「灰色の人生は楽しい?」
「いや」と、心底嫌そうな呟きが漏れた。
「一つの結末が見えたら、すぐに次を選ぶ。それだけだ、毎度毎度。あぁ、最初のゴールに旨く辿り着いたとしても喜ぶ暇がない、次のゴールでしくじったらと考えるとな。君はどうなんだ?内なる恐怖が幸せを遠ざけると感じたことはあるのか?」
「Ruin、私のモットーは得して得取れなの」
金満チャンピオンが損得勘定をしない人間だと知ってRuinは天を仰いだ。
「…なるほど。願わくば、君のその楽観主義と希望的観測を分けて欲しいぐらいだ。誰かが暗闇の捕らわれた時、俺のようにだ、その時は惜しむことなく分けてやってくれ。さぁ、行くか。お天道様はとうに頭の上だ、グズグズするのは惜しい」
いつも心に太陽を。分厚い天井越しにもお日様が見えるなら、余人はそれをポエマーと呼ぶ。

何処がリアリストだ。


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悪の組織を裏切った後に正義に目覚めた怪人蜥蜴男Ruined-Tail。遂この間まで暗い運命(さだめ)を吹き飛ばし、早く○○になりた~いと愚痴っていたはずなのに、それがどういう心境の変化やら、他人を気に掛けるようになった…のかもしれない。彼は私の保護者を買って出ようとしている…ように見える。不思議。



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Artephiusの工房へ戻り件の箱を開けてみると、中から出てきたのは硫黄混じりの灰。


「灰?」
「そう、火山灰よ。Vvardenfell、私の故郷の」
「…」
Cyrodiilの英雄の出目を知ると皆揃って同じ顔する、“何故?”と。
「ホント不思議な因縁よね」
いつか彼にそれを語って聞かせる日がくるかしら。


残念ながら木箱の中身は求める手掛かりではなかった。錬金術師Artephiusは毒薬の研究以外にも手を染めていたとメモに残る。彼が気まぐれに用意したこの灰もその一つ。


“昨日、Resdaynから箱が届いた。中身は役立たずのゴミで一杯。が、錬金術師として興味を引く品を発見した。ドワーフ製の爆弾の製法だ。
こうある。硫黄とVvraedenfellの火山灰を混合、即実行した。次に少量の有毒物資、Janusの腐った酒でよかろう。酔っぱらいのデブッチョから一本拝借し、硫黄と灰の混合物を混ぜれば充分。問題は最後の材料だ。私の翻訳が間違っていないのなら、完成には『Alchemist's Bone』なるレアな菌類が必要とされる。私の広範な知識を持ってしてもそんな茸に心当たりはない。資料でも読んだ記憶はない。そいつが何処に生育しているのか、見当もつかない”


「面白そう、作ってみましょう」
Ruined-Tailの計算だとこれも寄り道。余計なリスクは避けるべきと顔にアリアリと出ていたが「短い回り道、ちょっと散歩するだけよ」と軽くいなした。灰は入手済み。酒はJanusの部屋から回収、最後の“錬金術師の骨”なる茸は彼の頭に笠を開いていたアレ。三つの材料を揃え、工房の錬金術セットで調合。仏頂面したArgonianの眉間に皺が寄る前にドワーフ製の爆弾が完成した。

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材料が少量なので手持ちサイズが一つきりだ。


「で、何に使うんだ?」
「さぁ?」
「…もういい」

本日何度目かの溜息をついたRuined-Tail氏。心なしか息が深くなってるような気がする。
▲ by yamanobe26 | 2008-10-19 14:20 | Oblivion日記MOD編

OBLIVION日記MOD編その82

クエスト名「The Dungeons of Ivellon 5」

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「Stendarrだわ。ここは教会か」
アル中僧侶Janusの部屋を出て、亡者を撃退しつつ下りた先は暗闇広がる大部屋。


松明の灯りに祭壇と盃を抱えた石像が浮かび上がる。砦内は墨を流したように真っ暗、カビくさい廃墟。歩き回って初めて広さが判る。何があるのか、眼を皿のようにしていないと簡単に見過ごしてしまう。祭壇の端に本が一冊かろうじて乗っていた。


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「“選ばれた帝国の戦士が用いる高価な武器は最高の品質を誇る。だがそれらが持つ抗魔力の特殊性ゆえに魔法を付加できない欠点がある。しかしながら、ここに神の祝福をもってその素晴らしき武器を改良する方法がある。汝が武器とともに金貨百枚をStendarrの祭壇に捧げよ。さすれば彼の神がその御力を与え、世に蔓延る全ての悪しきものに立ち向かう大いなる神器となろう”…宣伝文句だな」
「宣伝文句ね」

まるで詐欺商法の如き謳い文句で書かれた祭壇の使用説明書。金とプライド差し出せば何でも叶えてやるぞがDivineズ。これ幸いと試しにガメた長剣と金貨百枚捧げてみたが、Stendarrはウンともスンとも答えなかった。武器が駄目なのか、祭壇の機能が死んでるのか、はたまたMadgodの願いは聞く耳を持たないのか。Ivellonの砦のそこかしこで当時の硬貨が拾える。支払いがそのコイン限定ならあと50枚足りない。


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「Ruin、背中」
「む」

灯りで照らされたRuined-Tailの後ろに黒々と口を開けた大穴。Argonianはモグラの真似をしないんだそうで、何処に繋がっているのか調べる為に一人で入った。
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白骨化した人足がゴロリ。これは工事で掘られた穴だ。これも一つの謎。Ivellonの目印となったCloud Towerは偶然同じ場所に建てられた。砦は完璧に埋まっていたことになる。…なら、本来の入口は何処に?


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トンネルは多数の骨が折り重なった場所で行き止まり。酷い…工事が中止になったのも頷ける。
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「Ruin?」
背中に視線を感じ、振り返ると…
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恨みがましい赤い瞳と目が合った。
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「鬼!?」
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「まどろっこしいぃいいぃ!!」
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「…なんだ、これは」
「貴方も見たことない?」



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「どうやら一応アンデッドらしいけど」
黒いボディにまぁっかな眼ぇ。身体は死肉、頭に生えるは触覚ならぬ角。
「…元が人間だと?」
「ゴブでないのなら、そうなる…ん、何か持ってるわ」
正体不明のゾンビから輝くクリスタルが出てきた。なんだろ?



教会を出てバラックの主道へ戻り、中央下の部屋は鍵が掛かっていて入れないので南東の階段へ向かった。狭い階段をどんどん下って着いたのは葡萄酒蔵。

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酔いて逝くは男の恥。末期の酒とは言うけれど、酒瓶をその手から離すことなく、誰かさんが樽にもたれて朽ちていた。
「Janusかしら」
彼の酔いどれ日記によると蔵の何処かに隠し通路がある。

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「大樽の下だっけ…しっかし、でかい酒蔵だわねぇ。どういう生活してたのかしら、ここの連中は」
何人駐留していたのか知らないが、寝ている酒樽の数で街一つを充分潤せる。

「一つ聞いていいか?」
「また?」
再び人生相談の始まりかと警戒したが。
「…いや、腰の剣はどうしたのかと思ってな」
「捨てた」
「おい」
「殴ったほうが気持ちいいのよ」
「…」
黙りこくったRuined-Tailは雄弁に語る。


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「…まるで戦の跡」
深々と突き刺さった槍は容赦なくテーブルを貫通してる。
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隣のテーブルに本が一冊乗っていた。早速、お役目と手を伸ばしたRuinを引き留めた。
「これスペル本だから」
本は古い魔道書。扱いは慎重が肝要。調べてみると、Inteligence75以上で日に一度だけ『聖なる樽』を召喚する術が書かれていた。危険は無いと判断。やってみましょう。
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詠唱終了と同時に目の前に出現した大きな酒樽。中身は凄まじい回復作用のある薬酒。発動に2アクションかかるので、実戦では樽を前にお陀仏だな。


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お、あった、あった。
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レバーは酒瓶抱えた骸骨の奧の樽、脚下。回すと大樽の蓋がパカリと開いた。中は隠し通路。


樽に入り、螺旋階段を登った先は更にレバー操作の隠し扉があり、そこ抜けるとロックされている中央の広間に出た。


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大剣を杖つき長テーブルに向かう、死してなお威厳を保つ騎士の骸。立派なもんだ。それもそのはず、騎士はParcival、所謂一つの聖盃騎士。手前に同じぐらい立派な日誌がドンと鎮座している。

Ruinが積もったホコリを吹き飛ばし、分厚い本の扉を開いた。「読める部分は少ない」と頁めくっていく。

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“264年12月3日。三名の囚人が到着。二名が殺人、一名が異教徒の嫌疑。異教徒は監禁、後に実験の為に使用する”

“同4日。料理番が誤って食事に毒を混入したと判明。当人と他四名が死亡。中庭にて死体を焼却、代替を要請”

“同6日。未だ生存する者の一人、元戦闘魔術師のAylerosが逃走。その際、警備兵一名を殺害、多数に傷を負わす。再び捕獲した後、舌と両の腕を切断。これによりこれ以上の脅威とはなりえず。彼は数時間に渡り生きのびた。今日日、囚人の中にこれほどの力を発揮する者がいるとは実に驚くべきことだ”

“同9日。Janus牧師が異常な行動をしめす。正気ではない。狂気にかられ兵を襲撃した。幸運にも傷を負ったのは彼のほうだったが。彼は取り憑かれたかのようだ。調査の要ありとみた。一時間の拷問の後、彼はMehrunes Dagonに取り憑かれたと自白。断首、焼却処分を命じる”

“同11日。部下一名が下層の墓所にて死体で発見された。調査の命を出すも、更に二名が消息不明となる。何か奇妙なことが地下で起きている”


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「…もうちょい楽しげな日誌が書けないのかしらね。バタバタ人が死んでるじゃない」
日誌の語る在りし日のIvellonは、僅か一週間で両手が埋まる勢いで死体を量産してる。人死が嫌で暗殺者を辞めたRuinは嫌悪感も露わに吐き捨てた。
「実験、火葬、墓地にアンデッド…まるでネクロマンサーだ」
世に暗殺者も忌み嫌う外道は死人使いだけ。
「死霊術は古エルフが始祖。この時代にも使い手はいたでしょうけど…でも、ヘン」
「へん?」
「Divinesの教えに拷問は駄目とは書いてないけど、死者の魂を冒涜するなかれとは書いてある」
疑わしげにRuinは懐からJanus神父の教本を取り出した。
「“地と神を讃えよ。現世の恵みを護り、残し、死者の魂を冒涜するなかれ”…Arkayか。ふむ、一応はDivines Knightだな」
「ありがと。もし女王が直接指示して死霊術の研究をしてたとしたら、死人使いどもが泣いて喜ぶわ」
「この男が勝手にやっていたことだと?」
「いえ、死霊術じゃないだろって話よ」
Shivering島のRelmynaがやってるような研究、とは言えない。
「その実験がここを粛清した理由か」
「そうかもね…気にならない?何故、死体をみな焼却処分してるのか。地下墓地を調べましょう」
日誌はRuinが読んだ頁が最後ではなく、残りは慌てて引きちぎったような痕がある。

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Ivellonでは日常的に実験という名の拷問が繰り返された。現在の帝国は信教の自由をある程度認めているが、本来のDivines信仰は犯罪者、背信者、異教徒の存在を一切認めない。神へ捧げる贄、魂に手を出さない限りは囚人を煮ようが焼こうが勝手。Marcus Scriboniasが著作で唱える“Alessia陰謀説”の裏付けが一つとれたことになる。


長テーブルの端に鍵が置かれていた。これで扉が開く。もう一つ。

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部屋の南東の角で巻き上げ機構のレバーを発見した。多分、宿舎の向こうを通せんぼしている鉄格子のものだろう。



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「きゃぁ!!!」
鍵を開けて広間から出た途端、奇襲を受けて壁に叩きつけられた。
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「Ruin!」
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こいつ!?
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テーブルの聖盃騎士か!いつの間に!

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く!なんて威力!魔法装備を通してさえ凄まじいダメージ!
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「このぉ!!」
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「怪我は?」
「…大丈夫だ。終わったのか?」
「貴方が間に入ってくれたおかげでね。また不意打ちを食らったら覚悟を決めたほうがいいかも」
たったの三発で伸されたRuinは苦笑を浮かべた。防御しても受けるダメージが桁違いでは奇襲されたら運任せ。敵のインチキっぷりを笑うしかない。騎士の得物は二振り。両手剣、腕力に自信があれば片手でも扱える特殊な剣だが、身をもって味わったほどの切れ味はなし。つまり騎士本体の攻撃力がベラボーに高いわけだ。


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一戦でガタがきた装備を修復した後、北の階段を登った。通路を渡って階段を降りるとテーブルにメモが一枚載った部屋。


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“最低最悪の料理番だ、スパイスと間違えて食事に手持ち全てのBittergreen Petalを混ぜるとは!普段から彼の料理は誰も食べたがらないほど怖ろしい味なのが幸いした。結果、死亡者四名を悼むだけで済んだ、料理番を除いて”


「書いたのはArtephius。Janus神父の日記に名があった。確か砦付きの錬金術師だ」
「錬金術師?」
「おそらく、実験を担当していたのはその男だろ」
「工房は上のようね」

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同じ部屋に二階へ続く階段がある。果たしてどんな如何わしい研究をしていたのか。
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「あ」

松明が燃え尽きた。

▲ by yamanobe26 | 2008-10-14 20:10 | Oblivion日記MOD編

OBLIVION日記MOD編その81

クエスト名「The Dungeons of Ivellon 4」
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Imperial Bridgeに泊まった翌朝、鼻先を流れるSilverfish川に沿って上流へ向かい、Peryiteの聖地を抜けてValus山脈へ入った。

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昨晩から、うちのRuined-Tail君が一寸ヘン。道中黙々と思考の海に沈んで浮き上がってこない。Ivellonのことなぞ忘れてしまったかのように。

「Ruin、考え事しながら歩いてると事故るわよ」
「…」
何度注意しても上の空。何処見てるのか分からないどんより曇った目玉を向けるだけ。

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モンスターを察知しては飛び出していくので相棒役を忘れてはいないらしいけど。




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「昨日からおかしいわよ、Ruin」
正午を回った頃、何度目かの独り言に十歩下がって歩くArgonianがようやく反応した。
「…もし社会がある特定の物、例えば絵とか像とかを悪だと決めつけるとそれらは悪になるのか?」
「はぁ?」
「つまり社会がこれこれはこういう物だと言ったら、問答無用でそうなるのか?」
それが抜けるような青空の下、澄んだ空気を吸い込みながら考えることなのか?
「学者にでも弟子入りしたら?なんで社会のことばかり気にするのよ?」

背中で足音が止まった。
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「俺は追放されたんだ。二度と生まれた家には戻れん」
「え?」
「ここが…此処が俺の社会なのさ、今は。俺は此処で居場所を探してる」
「過去を話す気は無かったんじゃないの?」
「知らなければ相談に乗りようがない…あぁ、それはそうか」
「あんた、頭のネジがどっか抜けてない?」

Ruined-Tailは昨晩まで心の内を決して明かさない男だった。自ら怪しい者だと名乗り、生い立ちも、旅の目的も一切曖昧に口を濁してきた。それが昨晩から急に意図不明な問答を始め、今日は今日で身の上相談である。


f0049366_16291745.jpg「俺はちっぽけなArgonianの派閥で育てられた。ほとんどの人間には知られてないし、知ってる者は忌み嫌う。種族の中でさえ原則異端者だ。それでも、羊みたいに固まっていて誰も手を出すことは出来ない。俺はまだ幼い時分から容赦なく命を刈りとる訓練を受けた。死は人生の一部だと教わった。血に盛るよう仕込まれたんだ」
「やっぱ殺し屋だったのね」
Ruinの正体は生粋の暗殺者、Shadowscale。そのぐらいは想像がついていたから驚きはなし。職に貴賤はない…というと違うか。
「成人すると、外に出ることが許される。そこで派閥の利益の為に腕を振るう。その時が来ても、俺はそんなことやりたくなかった。自由が欲しい、それがおれの選択だ。それで、マスターから、過去から逃げ出して、帝都へやってきた。俺を相棒に迎え、大陸を見せてくれる誰かさんに会いたくて」
密やかな笑い声が漏れ聞こえた。ククク…と。

「此処は貴方を受け入れてくれる?」
「俺の社会では俺を臆病者、裏切者と呼ぶ。俺はそうなのか?昨日、聞いただろ。あらゆる悪行が保護されるにせよ、悪を支える法を持つにせよ、そういう社会では殺し屋も正当化される」
ようやく話が繋がり始めた。“悪に生まれた者は未来永劫悪党なのか”そういう話だ。
「君のくれた答えで俺はこう考えるに至った。ここは帝国だ。ここの法律では俺は悪と見なされる。とどのつまりは俺も育った組織のもの。だったら、俺の社会が俺を裏切者と呼ぶなら、君の社会で俺はいつの日かヒーローと呼ばれるかもしれん。簡単な答えだ、俺は派閥に反抗してる」
「そうね。過去はどうあれ、今が未来に繋がってる」
「君はこう言うのか、君の社会では俺の過去は水に流し、現在と未来の選択に重きを為すと。ならTamrielで英雄的に尽くせば、社会は俺をただ英雄と認める?」
「面白い、実に面白い」と再びRuined-Tailは低く笑った。

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…ホント、けったいなのを拾っちゃったなぁ。このArgonianは人間やるのに但し書や使用説明書が必要だとでも思ってるのか。まぁ、人格に多少難があろうと彼の腕は確か。信頼するに足る。今更性格のねじ曲がった友人が一人増えるぐらい何てことない。


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スタート地点のAyleid遺跡Maladaへ到着した。日が落ちるまでにはまだ時間がある。ここから目指すCloud Towerまでは五時間ほど。正確な位置は不明だが、山頂に建ってるなら真っ直ぐ進むだけでぶちあたる。そのままValus山脈縦断ルートへゴー。
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…何が五時間だ。半日以上歩いても着かないじゃない。




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「いったい何処にあるってのよ、たく…」

幸いにして連日の好天。隠れる雲だって遠慮してる。地面は凍り付き、木もまばら。標高は眼を回すほどに高い。
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「あぁっ!」
冠雪の丘からようやく円柱の塔が顔を覗かせた。
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「Cloud Towerだわ」

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はるか眼下にCheydinhalの街を見下ろす崖っぷち、そこにIvellon唯一の目印である塔が高々とそびえ建つ。
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「うは、凄い。絶景だよ…って見ないの?自称観光客は」
何故か相棒Ruined-Tailは崖から距離をとって背中を向けていた。

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「Argonianに高みで優越感に浸る性癖はない」
「あぁ、高所恐怖症か」
「違う」
「隠さなくたっていいわよ。Black Marshじゃ山なんて珍しいでしょ」
Ruinの故郷は大半が海抜ゼロの湿地帯だ。

「とっとと入れ、日が暮れる」
落ち着かない様子で謙虚なArgonianは言い捨てた。



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Cloud Towerは見たまんま、狭い塔で入ってすぐ地下へ降りる戸が見つかった。
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地下は荒い作り。灯りもなく、暗い。
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トンネル工事の作業員ね。かつて塔と崖下のCheydinhalを結ぶ貫通工事が計画された。原因不明の事故で多くの作業員が命を落とし、断念。計画は破棄された。岩をくり抜いただけのトンネルに点々と骸が転がってる。死者の回収をしたくても、こんな高所じゃ二次遭難するのがオチか。

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「Ruin」
「どうした?」
しばらく進むと、穴の開いた壁を前に夥しい数の人骨と遭遇した。


「む…Ivellonだな」
“伝説”を掘り当てた作業員たちの骸は危険を警告する。元暗殺者も眼を鋭く細めた。
「入るわよ」

穴を跨いだ瞬間、背筋を氷りの冷たさが走った。すかさず抜刀するやRuinは躊躇いなく闇に飛び込んだ。

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「アンデッド!」
遅れて私も松明を剣に持ち替えたが。
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「何!?」
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くそ!
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事故の原因は亡者たち…は、いいとして。


まいったわね。砦内は見事なまでに真っ暗だ。松明がないと目隠ししてるも同然だから両手剣で闘うのは無理。片手で扱えるナイフを持ってきてはいるけど隠密用のサブ武器で大飯ぐらい。相棒も魔法剣だから、あっという間にジェムを使い切ってしまう。…仕方ない、武器は現地調達でいきましょうと、襲ってきた骸骨のハンマーを拾おうとしたらRuinが兵装庫に気づいた。

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数振りの剣と甲冑が仕舞い込まれているが、錆び付いた鉄格子はビクともしない。


「駄目か」
「待って。手を伸ばせば届きそう」
かろうじていっぱいに伸ばした手に長剣の柄がかかり、柵の間から取り出せた。
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何の変哲もない鋼の剣でもスキルのない打撃武器よりマシだし、棲くってるのがアンデッドなら属性抵抗を奪うだけでRuinの炎の剣は凄まじい威力を発揮する。私はサポート役で充分だな。



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私たちが入り込んだのはバラックだった。
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縦長の広間か幅の広い通路で、数回スケルトンの襲撃を受けた。
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索敵に優れるRuinでもかなり接近を許してようやく気づく。今のところ敵骸骨は雑魚だ。真っ暗闇から突然顔を出すのは心臓に良くないが、それで死ぬようことはない。


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「ぞっとせんな」
「扉を開け閉めする音?」
闇の何処かで何かが蠢いている。唐突にドアを開閉する音が迷宮を木霊してドキリとさせられる。が、Ruinの言ったぞっとしないは“感心しない”という意味。
「骸骨たちだ。此奴等は何者だった?」

アンデッドの正体は元衛兵だ。Marcus Scriboniaの著作によればIvellon閉鎖に際し、Alessiaは住人、兵士、役人にいたる秘密を知る関係者全てを砦ごと葬っている。より大きな冷酷さを覆い隠す為の冷酷な決断。Ruinの言う悪の社会と良く似てる。


暗闇の探索は時間を消費する。何処に何があるのか把握するにはその場に行く必要がある。どうやらIvellonの要塞は途方もないスケールらしい。兵舎一つでさえ小城並に広い。闇が無限に広がってる。


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「君は偉大な事を為し遂げてきた。Tamrielの運命を決める力を持つ。君が死ねば…あぁ、人は誰でも死に向かってる、遅かれ早かれ。だが、君の行為は歴史に残る」

また始まった。ホント妙な…いや、Argonianって種族は人生語りが大好きな連中ではあるけど、何もこんな状況でやらんでもよかろうに。
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「同じことが俺にも言えるだろうか。俺が死んでも名を思い出すのは精々二、三人だろうし、その子供に語って聞かせるかは更に五分五分だ。いずれ歴史に俺の居場所は無くなる。君は違う。君は永遠に残る」
「巡り合わせよ」
「おいおい、珍しくお淑やかだな。確かに運もあるだろうが、実際、君の行動は君を永遠にした。間違いなく歴史に残る。その意味では君は不滅だと言える」
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「貴方も努力すればいいじゃない。英雄になりたいんでしょ?」
それも帝国が保証する自由の範疇だ。
「フム、人間精進すれば疑いなくゴールにたどり着くか?俺が英雄になりたいと思い続ければ俺は英雄になれるのか?」
では聞くが、とRuinは続けた。
「君はどうやってヒーローになった?乗り越えてきた多くの苦難は想定内か?違う、そうじゃない。君は予期せぬやっかい事に巻き込まれ、否応なく敵とその刃に立ち向かう羽目になった、だろ?多分、それが真実で、でなければ英雄ってのは無理難題から驚くべき結果に到達することの出来る化け物だ」
「…」
「前者ならまだ俺にも見込みがある。すまん、邪魔したな」


為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり。英雄は努力の賜か、あるいは文字通りの化け物か。経験的な感想を言うと、日々努力する人間は悪党のほうが多い。世界征服を夢見みて粉骨砕身、自分の幸せと他人の不幸の為に命をかける。主義主張を断固として曲げない強靱な精神力は見上げたもの。そもそも悪人が善人よりやる気があるから世の中ちっとも良くならないのであって、私なんぞ日々テキトーに寝てテキトーに食ってテキトーに遊んでるだけだ。それを間近で見ているこの変態Argonianが何故にこのような問答をする気になるのか摩訶不思議。




探索は続く。


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酒瓶がゴロゴロ転がる小部屋で本を二冊見つけた。一冊はベッド。一冊は箱の中。

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「灯りを」
新たに本読み係が自分の仕事と自覚したRuinが率先して頁を開いた。
「日記と…もう一つは八神の訓戒だ」
「あぁ、そっちはパス。眠くなるから。日記のほうだけでいいわ」
「とんだ聖騎士もいたもんだな」
「全くよね」


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“さぁ、本日もいってみようか!
今日は人生最高の発見をした。
Stendarr万歳。まだ信じられん。樽いっぱいのColovian Red Wineだぜ!今までこれほどツイてたことはない。神は俺を愛されてる。酒樽は全部俺のもの!”

“よう、日記ちゃん!
俺の酒樽が消えた。いや、樽はまだある。そこにちゃんとある。けれど最早中身は無い。このくっさいNordの蜂蜜酒だけだ。
神様が俺をペテンにかけたのか、それとも昨日はそこにワインがあると錯覚するほど酔っぱらっていたのか。謎だ。俺は酔ってなんかいねぇぞ”


以下延々とひたすらに酒の話が続くのみ。


「…何、これ」
「持ち主はJanusという男だ。ままある、アル中の独り言だろ」
「日記を惰性で書く軟弱者は地獄に堕ちればいいのよ!」
「誰に向かって言ってる。日付は264年、地獄かどうかは知らんが此奴はこの世にいないぞ」
「Alessiaが亡くなったのは、確か266年だっけ。書いたのはトンネル工事の人足ではなく、砦の使用人ね」
「相当に嫌われ者だったようだ。…ん、待て。“おとといは酔いつぶれてワイン蔵で倒れちまったんだよ。俺様のスキルで事なきをえたけどね。Stendarr様、感謝を”」
重要な情報を見つけたらしい、Ruinの眼が忙しなく文面をなぞる。
「………ここだ。“眼を覚ました後、秘密のスイッチを見つけた、地べたのでかい樽の真下に。こいつを押したら何が開くんだろ。ひょっとして更なるワインへのお導きかな”」
「ワイン蔵に秘密のスイッチ?憶えといて」
「メモ帳か、俺は」
「頼りにしてるのよ」
満更でもなさそうにRuinは口の端を持ち上げた。

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▲ by yamanobe26 | 2008-10-06 18:15 | Oblivion日記MOD編

OBLIVION日記MOD編その80

クエスト名「The Dungeons of Ivellon 3」
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事実は小説より愉快、『伝説のIvellon』の著者Marcus ScriboniaはなんとHackdirtの出身。

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「何故、村に入らない?」
「いろいろとワケありなのよ、この村は」
「?」
「地下におっかない爬虫類顔の怪人が棲んでる」
「Argonianか?」
「違う、トカゲみたいな顔した人間よ」
「それはArgonianじゃないのか?」
「だから…あぁ、もういい」
爬虫類顔の人間をArgonianに説明するのは難しい。

Ivellon唯一の目印となる塔の場所が書かれた『The Cloud Tower of Cheydinhal』なる書籍。Marcusの手紙によると“運があれば”Cheydinhalで、“なくても”Hackdirtで確実に入手出来るそうな。本一冊探すのに運を使うのは勿体ない。侵入にあたり、Hackdirtがどんな村か知らないRuined-Tailは自慢の好奇心をブイブイいわせて食い下がった。

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「とにかく。あんた、着いてこないほうがいいわよ」
「何故だ?」
「Argonianを生け贄…というか食卓に上げるの、この村の連中は」
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「何!?」

「狙われるのは柔らかい女の子だけだと思うけどね」
「ば、馬鹿な!何を考えてる!?」
「知らないわよ、トカゲを食べればトカゲになれるとでも思ってるんじゃないの。ディナーに招待されたいなら止めないけど、来る?」
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しばし熟慮の末、じわりと冷や汗を浮かべたRuinは首を振った。「絶対に姿を見られるんじゃないわよ」、強く釘を刺してから一人村へ。


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「ここでいいか」

百年以上も前に生まれたMarcus Scriboniaの生家が何処なのかは不明。当時の事情を鑑みるにとっくに取り壊されてるだろうが、隠してあるなら坑道の中だ。村の人間は皆そうする。
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「ち、相変わらず眼がいいわね」
梯子を降りた途端、お馴染みの棘付きバットを手に住人が襲ってきた。
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Hackdirtは鉱山の真上に建つ。その昔、住民が地下を掘りまくって禍を引き当てた。以来、何処をどうみても怪しい村と化した。“深き者”が村に現れたのは3E345以前。で、Marcus Scriboniaが手紙をUrasek砦に隠したのは3E350以後。Marcusはどういう意味で“お気に入り”と書いたやら。

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「いるいる」
今や坑道はトカゲ顔した怪人の棲み家。関わり合いにならないのが一番。
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坑道の南、小さな袋小路の奧で目的の本が収まった箱を見つけた。




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「暴力女め…いつまで待たせる気だ」
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「ただいま」

突然の帰還に驚いたものの、Ruined-Tailは愛らしくも大きな口を押さえ込んで叫び声を堪えてみせた。
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「脅かすな!声を聞かれたらどうする!」
「何が?」
「見つかったら生け贄にされるだろ!?」
「あぁ…あの話。心配いらないわ」
「…?」
「半分嘘だから。本は手に入れた。Chorrolに戻る」
「嘘…こ、このやろう!!!」
「半分はホントよ。見つかると面倒なのもね」
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「先に行くわよ」
「おい!待て、貴様本当にCyrodiilのチャンピオンなのか!?」


万一戦闘になればRuinは見境なく殺す。単独で潜ったのは村で暮らすJiv Hirielを巻き込まない為だが、Jivの抱える事情は誰にも話したくない。

…まぁ、なんだ。住民が呪いでトカゲやカエルの親戚になろうとしてるとトカゲ人間に話しても何が問題なのか分かんないわよね。


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「信じられん…こんな奴が仮にも英雄だの聖騎士だの呼ばれてるとは」
「うるさい。寝る前にこの本を読んでちょうだい。もう、夜が明けちゃうでしょ」
酔っぱらいの愚痴は聞き流すに限る。努力しても読むことの出来ない活字が並ぶ本を投げ渡した。
「俺はお前の父親か。たく…」
真面目な悪党らしいRuined-Tailはしっかり本をキャッチ、律儀に開いた。



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「“Cloud Tower of Cheydinhalは2nd-Eraからある見張り塔である。おそらく建設された場所、Cheydinhaの南東、しばしば雲が覆い隠す険しい岩山、がその名の由来であろう。名は直に繋がっているかのように聞こえるが、Cheydinhalから塔に至るのは不可能だ。それどころか長く困難な道をいかねばならぬ。もし場所を知らぬのなら、旅のスタートはCanulus湖の北に位置するAyleid遺跡Maladaが望ましい。遺跡から始まり、おおよそ北へ向けて山頂を進むことになる。Valus山脈を南北に縦断するようにだ”」

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「Maladaか…また思いっきり東だな。かなり遠いわよ」
「その遺跡からCloud Towerまでは五時間ほどかかるとあるぞ」
「なるほど。Boethiaの聖地の向こうね。他には?」
「“3rd-Eraの初期、利便性からCheydinhalと塔を直接結ぶべく頂上、山裾間を抜けるトンネルが必要とされた。しかしながら幾度か労働者がほぼ全員死亡する不可解な事件が発生し、完成をみなかった。失敗した計画は後に破棄。Cheydinhal伯の決定でトンネルの入口は封鎖された”…あとは特になさそうだ、重要な情報は」
「つまり…その塔は偶然にIvellonの目印になったってこと?」
「だな。これを読む限りは」

歴史家は偶然を嫌う。社会を揺るがす大事件が実はなんてことない“たまたま”起きちゃいました、とは断じて認めない。何かが起き、そこに原因を求めることは時に誤りを生む。

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本には不可能と記されていたけど、CheydinhalからValus山脈を“南下”するルートはある。あるにはあるんだけど、相棒が脚を踏み外して断崖絶壁を楽しげに転げ落ちていくのが容易に想像出来る。よって登坂ルートは素直にMalada経由を採用する。Chorrolを出て、旅支度をするべく、まずはBravilへ向かった。


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「ちょっと派手かしら。まぁまぁってとこね」
「いいのか、こんな値の張る鎧を貰って?」
今日日GlassやDaedra装備を纏う山賊も珍しくないが、Ebony鎧のまばゆい金縁に貧乏Argonianは柄じゃないと照れた。
「えぇ。あんなボロ皮じゃ命がいくつあっても足りないわよ。それは友達のお古だし。本人はもう着る気がないの」
「付いてる銘が元の持ち主か。誰なんだ…Umbraとは?」
「そんな名前の人間はいない。さ、出発しましょう。日のあるうちに対岸へ渡らないと」


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Bravilを出て一旦南下した後、Niben河にかかる小橋を渡り東岸へ。目指すMaladaは“The Collector”Mr.Umbacanoの仕事で潜ったAyleid遺跡。山中に進めば以後は野宿になる。その日、暖かいベッドに別れを告げるべく宿Imperial Bridgeに部屋をとった。
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夜半に山を降りてきたMirisaと今も滞在中のLithnilianが顔を揃え、再会を祝して晩餐は大いに盛り上がった。


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Bretonの冒険者、Redguardのハンター、Altmerの学者。生まれも育ちも全く違う奇妙な取り合わせにRuinは不思議な眼差しを向けた。



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「ちょっといいか?」
「ん」
「俺が育った社会で、だが。おおよそあらゆる悪循環の典型を見てきた。もし、ある社会が悪だとすると、内に生きる者は次々と腐敗していく。なぁ、俺には分からないんだ。社会が提供しうる役割とは何だ?」
「相互利益に決まってるじゃない」
「狼がビビってくれるのを期待してみんな仲良く蹲る羊のようにか?そうだな、確かに。似てるところはある」
「はぁ?」
いったい彼の何を刺激したのか知らねど、Ruinは酒瓶をテーブルに開放し、難しげに迷走、もとい瞑想を始めた。



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「君の言葉だと、俺が生きてきた社会は各々の罪を社会全体の罪で隠蔽する為に寄り集まってることになる。多分、君が考えてる以上に真実を貫いてるよ。俺の身内は自分の行動を正当化する為に、隣に住む者の悪行と比較するんだ」
「…」
「つまり、悪の社会は悪党のみを育てる。自らを省みると、それが真実だと聞こえるようだ」
「Ruin?」
「一人で考えてみる」そう言い残し、悪酔いしたArgonianは外へ出た。

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▲ by yamanobe26 | 2008-10-02 17:30 | Oblivion日記MOD編
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