クエスト名 『フォースウォーンの陰謀(前編)』
Talos────今や神の座から蹴落とされる寸前のNine Divinesが一柱。
と言いましても、元からTamrielに住む者の大半が崇めていない神様ですけど。生前の名はTiber Septim、言わずと知れた征服王。自国を武力で蹂躙した圧制者を神と讃えるはずもなし。例外はNordたち。領土的にはさほどSkyrimに恩恵をもたらしたわけでもない、Numidium譲渡の裏取引でMorrowindに手を出せなくなったことを考えれば、むしろ損をさせたとさえ言えるTalosを何故にNordが神と崇めているのかと申しますと。
“北の竜王”の呼び名が示すようにTiber Septimは北方人で、同郷の者であるSkyrimと同盟を結んでいた。NordはTiberに付き従い、侵略の尖兵として大陸全土を行軍、数々の戦功武功を挙げることになった。故に此処SkyrimではNordの戦神Ysmirの化身として奉られているのであります…というウンチク話はさておき。
ほの暗い祠の中、一層の闇が篭もる柱の影に立ち、更には顔一杯に入った墨で表情はおろか人相すらあやふやな男、彼はEltrysと名乗った。
「もう何年も続いてる…目にするのは殺人と流血ばかり。手を貸してくれないか?」
「…」
「頼む。何故あの女が襲われたのか、WeylinとForswornを操っているのが誰なのかを探ってくれたら…どんな情報でもいい、謝礼を出すよ」
「その前に、Forswornとは何です?」
「その昔、このMarkarthを支配していた者達の残党だ。Reachの出身で古い習わしを信奉している。Nordが彼らを追い出したんだ。Ulfric Stormcloakとその手下が。20年ほど前の話だ」
ふむ、テロリストの類ですか。
Eltrysは子供の時分にForswornのテロ行為で父親を失った。以来、彼は何故父親が標的になったのかを知ろうとForswornを追っている。衛兵がこの件に非協力的なのは私も目にしたが、単に無関心というだけではないらしい。表立って行動出来ないEltrysは父親の無念を晴らす為、外部の者の助力を求めていた。
「ぅわ…もう夜明けだ」
東の空から見る見る明るくなってゆく。イベント満載な忙しない夜も終わり。さてもやっかいな街へ飛ばされたもの。勿論、知らぬ顔で出立しても良いのではありますが…いろいろ気にはなる。もう少し付き合ってみますか。
市場で殺された女の名はMargret、観光客だそう。地元の人間でもない者がテロの対象になるには某かの理由があるはず。彼女は宿Silver-Blood Innに部屋をとっていた。一眠りする前に調べてみるべし。
宿の主人Klepprは忠告込みでMargretの部屋を教えてくれた。曰く、“忘れてやるのが一番、この街で死人の話をするのは縁起が悪い”。
客室を物色して日記を発見した。内容は…肝心な部分が意味不明で良く判りません。Klepprの話によればMargretは一ヶ月の長期滞在中、Tullius将軍は帝国のSkyrim方面軍司令で、そして彼女は街の顔役Thonar Silver-Bloodを調べていた。
十中八九、Margretの正体は帝国軍の間者ですな。この街はStormcloak派でしょうから、殺されるに足る理由はあったわけだ。でも、何故にForswornが彼女を狙ったのかは謎。日記にはForswornのFoの字も出てこないし。
部屋を借りて一眠りした後、宿を出ると衛兵一人が待ち受けていた。「去れ。厄介者がどんな末路辿ることになるのか、知りたいのか?」
「別に揉め事を起こすつもりはないですけど?」
衛兵はフンと鼻息一つ漏らすと語気を強めた。
「面倒ごとを見つけただけでも質が悪い。これが最後の警告だ、余所者。我々はこの街の秩序を維持している。仕事の邪魔をするな」
仰々しく言い捨てて、衛兵は去った。
テロリストどもを野放しにしておいて秩序の維持とは笑わせます。そう、Eltrysの話によれば何故か衛兵たちはForswornのテロ行為を“実質的”に容認している。犯人に対し直接の処罰や拘束は行っているものの、それだけ。捜査や未然の防止等は皆無で、首を突っ込む者あれば脅して止めさせる。
衛兵が率先して治安に悪影響を及ぼすとは考えにくいので、誰かの差し金に違いない。つまり、衛兵とテログループの雇い主が同じ、そう考えると辻褄は合う…
テロ行為に留まらず、Forswornは他にも様々な被害を住民に与えている。「仕事を頼めない?傭兵でしょう?Forswornから像を取り返してくれたらお金を払うわ」
街道を往く輸送隊が頻繁な略奪を受けて物流が途絶え、お陰で街唯一の雑貨屋Arnleif and Sons Trading Companyは開店休業状態。店を経営するLisbet自身も五年前、Forswornに夫を殺されている。
こちらとしても戦利品を換金出来ないのは困りもの。よござんす。テロリストどもをこの目で見てやりましょう。
Lisbetの依頼はSerpent's Bluff砦を根城にするForswornに奪われたDibella像の奪還だ。砦はMarkarthの東、殆どWhiterunとの境界辺り。
「…こいつらがForsworn?」テロリストグループどころかまるっきり先住民族じゃないですか。どういうことだ?
まぁ…これはこれで悪くないですけど。
地上のキャンプでDibella像は発見できなかった。となると、後は地下。…Hagravenだ。悪名高きSkyrimの“魔女”。初めて見た。Forswornと連んでるんですかね。
Dibella像のある部屋は柵が通せんぼしており、開閉スイッチは何故か石テーブルの上。押してる間だけ開くタイプなので重しを置かないとすぐに閉まる。
宝箱からDibella像を回収した後、部屋にエンチャント台があったので拾ったElfの剣にHP吸収の魔法を付加して新剣を作成してみた。
剣士たるもの是非、用途別に多種多様な剣を揃えたいもの。まぁ、現状は体力的に持ち運ぶのがキビシイのではありますが。
「なるほど…そういうことですか」
Forswornは正真正銘、Reach東部の山岳一帯に定住するBretonの部族です。ちょいと山を登ると遺跡や水辺に規模の大きな集落がいくつも見つかる。
中に明らかに人と異なるシルエットを持つ者が見て取れた。やはりHagravenが混じってる。
歴史を紐解くと、SkyrimとHigh Rockの国境地帯は古より領土を巡っての争いが絶えない。同じ大陸の北部にありながら温暖、肥沃な土地であるHigh Rockを羨み、山岳の過酷な環境に生きるNordの祖先は幾度も侵略を試みた。当時の支配者はAldmerですが、Nordの祖先は結局戦争よりもElfに吸収される形で望みを叶えることになった。そうして誕生したのが混血種Manmeri、私を含む現在のBretonであります。
Eltrysの話では、Markarthを支配していたForswornをUlfric Stormcloakが追い出したのは20年程前…ですが、この辺りがSkyrimの一部になってから300年ぐらい経つはず。いまだBretonの先住部族が残っているのも驚きですけど、Nordの行政都市であるMarkarthの支配者がBretonだったとはいったいどういうことなんだろ?
Markarthへ戻ったら街の歴史を調べるとして…その前にもう一つ、私的にはこちらのほうが重大なんですが、厄介事を片づけてしまいましょ。
人様を見知らぬ街へ放りだして失踪したSam Guevenneは、Whiterunの西外れにある農村Roriksteadへ向かったらしい。Serpent's Bluff砦を頂く丘を東へ下れば、Roriksteadは目と鼻の先だ。
「お前か!よくも顔を出せたもんだ。どんな言い訳をするつもりだ!?」
「?」
Samの名を村人に尋ねて廻ると、せっせと畑で精を出す農夫のEnnisに掴まった。こちらの顔を見るなり鍬を投げ捨て、エライ剣幕で怒鳴り散らす有様。
「Gledaの名に聞き覚えがないって!?うちに看板娘で、酔っぱらいにさらわれたあげく、巨人に売り飛ばされたあのGledaだぞ!」
身に覚えの無い悪行を謗られるのは実に気分が悪い。
そもそもあの晩、Windhelmで酔いつぶれてMarkarthで目覚めるまで時間の経過は殆どないわけですよ。Dibella神殿で管撒いて暴れるのはともかく、この村でそんな凝った悪事を働くなんて無理だろう?
事情はどうあれ 、ご機嫌斜めなEnnisはSamの行方を知りたければ巨人からGledaを取り返してこいの一点張りだ。らちが明かないので、とっとと行ってこよう。
巨人族と経済交流が可能とは知らなんだ。Gledaを買った?(少なくとも売ったという私の懐には1goldだって入っちゃいないが)巨人は近場の丘の上で発見。相手は小回りが利かないので難しい事は何もない。
Ennisは無傷で戻った看板娘、羊のGledaに安堵し、Samが残したメモの内容を教えてくれた。現物は“半分は意味不明で、残りはこぼした蜂蜜酒で読めなくなった”ので捨てたらしい。
「WhiterunのYsoldaに借りを返してから…ってのはどうにか読み取れた。それだって殴り書きだがな。まぁ、行ってみるこった」
鬼ごっこはまだまだ続く。