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クエスト名『Free Labor』
ようやく辿りついた疫病の治療法Cure、それは全く予想だにしないものだった。 Ashurが老け顔なのか、あるいはSandraが超若作りなのか。推定歳の差30才の夫婦事情を気に掛ける余裕もなく、私の目は小さなケースに釘付けにされた。 「…で、Ashurとそのお仲間側についた。そう?別に連中の悪行に目を瞑って“自由”を得たのは貴女が初めてじゃないわ」 Mideaは手ぶらで戻った私を侮蔑で迎えた。首謀者でありながら彼女は一歩も部屋から出るつもりはなく、“Raiderにこき使われて死ぬより自由の為に死ぬほうがマシ”と仲間が犬死にするに任せていた。 「Cureの正体を知っていたんでしょ?」 「勿論知っていたわよ。貴女、馬鹿?」 だからどうしたと澄まし顔で彼女は答えた。 「それが疫病の治療と自由を取り返す唯一のチャンスだってこともね。彼らが治療法を見つけたとして、私たちにお鉢が回ってくると思う?ありえないわ!働いて死んでいくだけの者を治してやる理由があって!?」 「ざけんじゃないわよ!あんなものが盗めるかー!!!!」 WernherがPittの外で救援を求めた理由は一つしかない。Cureの正体を知る人間は誰も手を貸さないと彼もMideaも判っていたからだ。 「今度はもっと賢い奴を見つけろ。そいつがPittの王になってくれる!」 「判った、判ったわよ!Wernherよ、Cureを欲しがってるのは彼奴!私は自由が欲しかっただけ!どうなるかなんて考えなかったの!」 剣幕に押され、全てWernherの入れ知恵だ、彼奴が悪いと言い逃れた。 「Wernherは何処?」 「Steelyardに隠れてる。南西の屋上にある扉を探しなさい。これで満足した!?行って、そんな風に私を見ないで!」 「く…」 視線から逃れるように俯くMideaを残し、彼女の部屋を出た。 Wernherの潜伏先に心当たりがあった。Mideaが教えたSteelyardの南西側、Wiid Billの遺体が発見された上層と下層を結ぶ階段脇の建物屋上にロックされた扉が一つある。 燃料タンクと複雑に絡み合うパイプの向こうから、呼びかけに答えるように当人が姿を見せた。 「あぁ、とうとう来たな。準備万端怠りない、やるべき実験は数え切れないほどあるぞ」 Midea同様、Wernherも外の状況より望む品を真っ先に気に掛けた。実験…彼がDr.Sandraほど慎重にCureを扱わないのは明白だ。 「さぁ早く、そこの台に…待て!Cureはどこだ?どこへやった!?」 「そんなに欲しけりゃ自分でとりに行きなさい」 何も持たない両手を広げて見せるとWernherはしたり顔で鼻を鳴らした。 「…たく、吠えるんじゃねぇよ。手が汚れるからゴミ拾いは嫌いだってか?いや、お前は拷問する側になりたいのか、クズどもを奴隷にして?自分じゃ何も決めなくていいからな」 他人の褌で相撲をとる男に言われたくないが、Wernherの首を手みやげにAshurを喜ばせるのも癪だった。 応えるようにWernherはくわえた煙草を捨て、身構えた。が、得物は互いに44マグナム。至近で撃ち合えば無傷では済まない。外ではRaiderが血眼で彼を捜している。案の定、計算高いWernherはあっさりと構えをといた。 「オーケー、了解。そうさせて貰おう。お前はAshurに付いた。バラ色の未来が待ってる、下僕として。たいしたもんだ」 「次はもう少しマシな手を考えるのね」 「お前に何が判る!?クソな街!クソなRaider!クソな奴隷!そしてお前もクソだ!あばよ」 捨て台詞を残して彼はSteelyardの闇へ消えた。 「君が信頼に足ると判っていた。裏切られずに済んだな。Wernherの悪事はここまで、労働者も本来の場所へと戻りつつある。Pittの未来は光に溢れている。勿論、君もだ」 「Cureが無事だったから?」 「我々には爆弾が落ちて以来、街を苛んできた疫病を治療するチャンスがある。子供たちが死ぬことはなく、本物の都市が育まれるだろう。奴隷買いも強制労働もない。より良き世界が」 Pittを去る日、Ashurの居城Hevenを訪ねた。何もしていない人間を高く評価する理由は不明だが、彼は上機嫌だった。 新生児に対する感染率100%の疫病、労働者として買われる奴隷、賊あがりの監視、おぞましい食物連鎖…歪んで咬み合わないはずのピースで地獄絵図を描いた老人は、“天罰”の後に何故この街を再建したかを語った。 「これかね?」 老人が纏うPower Armorは全身に錆びが浮きだし、修復につぐ修復で原型を留めていないものの、間違いなくT-45d。Ashurは“天罰”の加害者側だった過去を認めた。 「かつて私がBrotherhood of Steelであった時分の骨董だよ。遠い昔だ。もっとも、彼らが私を仲間の一人と認めるのは難しかろう。今は多少なりともマシ、そう思いたいが…」 「Brotherhoodに戻る気は?」 「ない、これぽちも。天罰の際、我々はPittを蹂躙しつくし後は腐るに任せた。私はここに取り残されたただの愚か者だった」 見渡す限り広がる廃墟を前にして、Ashurは諭すように続けた。 「Brotherhoodは堕落した。死にかけの街を蘇らせるより略奪するほうが得策だと彼らは考えた。Brotherhoodは過去のテクノロジーに取り憑かれてしまった。今日と明日の為に何が必要か、最早気にかけてもいまい」 疫病のせいで─── 汚物を焼き尽くし、Brotherhood of Steelは去った。事故で本隊から置いてきぼりを喰らったAshurは廃墟で稼働可能な製鉄所を見つけ、独自に世界の再建を目指してPittを立ちあげた。 「労働者…奴隷たちをこれからどうする気です?」 「現状のままだ、何も変わらん。治療法が複製出来るまで、彼らは働き続けねばならん。でなければ街は崩壊する。だが治療法が完成すれば状況は一変する。人々をさらうような真似は必要ない。都市は自然に成長するだろう。そうなるまではこの方法しかない。こうするしかないのだ」 自らに言い聞かせるようにAshurは繰り返した。 アリーナでチャンピオンまで上り詰めた者でも、王にとってはただの小娘。私は目出度くPittから放免された。 …もっとも、これで外道な手段に頼らず奴隷の解放が可能なら迷わず協力したに違いないのだから、私も相当に適当な人間ってことになる。 いったい何をどうすれば良かったのか? 答えは見つからず、ただ憂鬱な気分でCapital Wastelandへの帰路についた。
by yamanobe26
| 2009-12-05 18:36
| Fallout3日記
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