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閉めきった売り場の埃を孕んだ闇に火線が一瞬尾を引く。鉛玉は胸部を貫き、モヒカン頭は大きく仰け反って泥だらけの亜麻仁油の床にドス黒い花びらを散らせた。 銃声を聞きつけ、寄ってくる長モノを背負ったマゲ男。 放送禁止用語(クレイジーだと問題ない)をお終いまで口にすることなく、マゲ男は綺麗にクーラーボックスへとブチ込まれた。 二人の陰が重なったその時、グレネードをオーバースローで投げ込む。 ガラクタになった脚をヨタヨタと持ち上げ、マスク男は必死に足掻く。 無駄に鍛えられた肉体に弾かれ、血糊に黒ずんだバットが反り返る。二度、三度。すぐに悲鳴は聞こえなくなった。誓わずともマスク男が悪事を働くことはもうない。 はじめまして。 私の名前は…“おい”とか“お前”とか、まぁそんなものです。職業は廃品回収業者。使えそうなゴミを集めて売りさばき、チマチマと小銭を稼いでる清く貧しい乙女です。恥ずかしながら私、先日までモグラの仲間をやってまして、このたび目出度く地上に出てまいりました。見ての通り、とても元気に生きてます。 『本?』 問いかけにその女性は、知的な大目玉をキラキラさせた。 「よくぞ聞いてくれました。この土地は危険がいっぱい溢れてる、でしょ?住民の皆々様に実戦的で良き指南書はどうかしら。例えば『The Wasteland Survival Guide』とか」 「…Moiraさんが書くんですか?」 勿論、と彼女は頷いた。 「そこでよ。私は私の手法が正しいかどうかを助手にテストしてもらいたいわけ。間違いがあって誰かが傷つくのは見たくないし、それじゃ誰も幸せになれない」 「誰も?」 「えぇ、特に私がね。後で文句言われるもの。ほんの些細な間違いでもよ。言葉ってやっかいなのよねぇ」 過酷な世界をより安全に生きる指南書『The Wasteland Survival Guide』を執筆中の彼女は著作のネタを探しており、まずは軽~くMegatonの近くに建つSuper Duper Martから食料と医薬品の回収を提案しました。元々マーケットはMegaton住民の貴重な台所。ですが現在は賊が占拠中で、必然的に初めてのお使いはとてもバイオレンス。 下にズラズラと並んだ頭の痛くなりそうな文字列の中の何れかがパスになるワード。チャレンジは六回までと表示アリ。 え…っと、ざっと見た感じ頭がCO、末尾INGが多い。まずはそれを潰しましょうか。末尾INGのつく文字を選んで正解二文字以下なら同じ並びのものは全部除外できます。判りやすいところでHURTING…う、四文字正解。COはどうかな。CONCERN…二文字正解。頭がCO、末尾INGの可能性大。ではCOSTING。ガチャリと金属音が響き、扉のロックが解除された。 館内放送がオンになってる? 入口カウンターの呼び出しマイクが拾ったようですけど…誰でしょ? 時代錯誤な台詞から判りますように、この子は大戦前の遺物です。結構強力なレーザーガンを装備してますから戦力としては充分。ただ、いかんせん精密機器なので衝撃に弱く、鉄パイプなんかで殴られると軽くスクラップ。格闘戦を挑む敵を先に排除しないと活躍するまえにお陀仏です。 ノッシノッシと歩むProtectronの後をついて倉庫を出た途端、激しい爆発が。かかった! これで残る三人の武装は銃。うち重火器を携帯してる者はなし。三対二なら無駄弾撃たずに勝てます。期待に応えるProtectronも殺る気満々な保安官の如く颯爽と売り場へゴー。 賊たちは当たり前に警告を無視し、返答代わりと派手にバラまかれた弾丸が鋼のボディで火花を散らした。 必要なのは銃と弾と水。そして背中から相手を撃つ強かさ。それだけです。
by yamanobe26
| 2008-12-06 20:55
| Fallout3日記
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