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クエスト名「Through A Nightmare, Darkly」
私はこれまでどのギルドにも所属してこなかった。それには理由がある。はっきり言ってしまえばギルドなんてろくなもんじゃないからだ。私の故郷、Vvardenfell島にもギルドは沢山あるが、どこもかしこも内部抗争と勢力争いに明け暮れている。とりわけ戦士ギルドは最低で、暗殺どころか白昼堂々皆殺しにしてこい等という命令が平気で飛び交っている。そして勢力争いに背を向けて内側しかみない代表格が魔術師ギルドだ。秘技秘術の盗み合いはあたりまえ、構成員は浮世離れが甚だしく頭目の老師からして、たかが酔っぱらいに絡まれたぐらいで、魔法治癒の効かない呪いを相手にかけてしれっとしている。おっとりした集団のくせにやることは一々過激で、会費を払わない奴は殺してこいなんていう、暗殺者ギルドでもやらないような仕事を下っ端にさせる。どれだけの人間が殺人を回避する為に身銭を切ったことか。そんなわけで私は魔術師でありながらギルドには所属してこなかった。こなかったのではあるが、それはそれで非常に困った問題がある。 この世にはあらゆる物理攻撃を無効化し、魔法耐性が尋常じゃなく高い魔法生物やそもそも殴れる肉体を持たない幽霊がいる。そんな化け物は地の底や墓穴ででもおとなしくしてくれていればいいのだが、残念ながら世の中そんなに甘くない。すぐその辺を彷徨いていたりするのだ、この大陸は。当然そういう怪物に対抗する方法は限られており、その数少ない手段の一つがエンチャント武器、魔法武器だ。時折非常に高額な値で店に出回ってたり、野盗どもが所持していたりするのだが、この手の武器は使用すると、基本的には込められた魔力を消費する。消費するから再充填する必要がある。 さて、魔術師ギルドの商法ははっきり言ってあこぎである。通常、低級魔法を格安で販売して魔術師の裾野を広げ、いずれ破格に高い上級の魔法を買わせようというミエミエの商売をやっているが、真にぼったくってるのはエンチャント武器のチャージ料だ。魔法武器の価値から元になった武器の価値を引いたものが付加魔力の価値であるというのがその理屈である。なんでもない只の剣にちょっと魔力を上乗せするだけでその価値は一挙に数倍になるのだ。そして魔術師ギルドはこの技術を独占しており、魔法生物や幽霊に太刀打ちできない戦士職の連中から金を巻き上げている。 あたりまえの事だが、私も魔術師の端くれだからその技術がある。自分でやろうと思えばできるんだが、ここ帝国では魔法大学Arcane Universityへ行かないと祭壇の使用許可が下りないのだ。そして魔法大学へ入学するには魔術師ギルドの会員でなければ資格がとれないのである。 長々と説明してきたが、要はより強力な剣の制作とその維持の為に魔術師ギルドに入会することにしたんですよ、悪いか! 帝都にはないが私が住むBravilには魔術師ギルドがある。手っ取り早くそこで入会申請をしてしまおうとギルドのドアをくぐった。 彼女がその入会審査担当の魔術師Kud-Ei。見てのとおりのArgonian女性。ここの責任者のはずだが、彼女、トラブルを抱えていたことを思い出した。確か友人が行方不明だとかなんとか街の噂になっていた。 「ええ。行方不明の友達を捜しているのは私です。彼の名前は、Henantier。あなたが見つけてくれるなら、喜んで相当以上の報酬を提供します」 「Henantierとは?」 「彼がいなくて寂しいです。私たちはArcane大学の研究仲間でした。そして数年を経て私たちはお互いに好きになりました。彼はいつも危険な方法で実験して自分自身を窮地に追い込んでいました。私は彼が、又それを行ったのではないのかと心配なのです」 へぇ、Henantierって名前からしてArgonianじゃないわよね、その人。 「あなたは私を助けて下さるのね。ならあなたには本当のことを話します。Henantierは、行方不明ではありません。それどころか、私は彼がどこにいるか正確に知っています。問題は彼が罠にかかってしまったこと、そして私には彼を自由にできる方法がないのです」 どうも複雑な話のようだ。 魔術師ギルドでは危険な実験をする場合、ギルド内で行うことと同僚の立ち会い人が必要なのだが、Henantierは秘密裏に自宅でそれを繰り返していた。それがギルドに知られてもう一度でも繰り返したら即時放逐処置をとると警告を受けていたが、彼は止めなかった。それゆえKud-Eiは彼の失踪の真実を秘密にして置かなくてはならなかったのだ。 一旦自宅で装備を整えて再び魔術師ギルドへ戻り、Kud-Eiの案内でHenantierの家に向かったのだが…なんとギルドの真正面である。彼がどんな実験をしたかは知らないがそりゃぁすぐバレると思わなかったのか。…思わなかったんだろうな。Henantierがどういった人間なのか想像に難くない。 「これは…」 「見てのとおり。Henantierはここにいて、そして夢の世界で危機にあります」 なるほど、夢の世界か。今更、驚くことでもない。 「私は自身の夢の中を旅するのは危険だと彼に言ったのです。でもいつも彼は聞かなくて、彼は自分の道を進むばかり。彼は、彼がDreamworld Amuletと呼ぶ魔法装備を造りました。この装備で彼自身の心に入り込む事ができるようになります。そして夢を体験するのです」 「誰でも夢の中へ?」 「そうでもあり、そうでもない。あなたがお守りと共に夢に入るとき、あなたは完璧なあなた自身の複製に命じるのです。あなたの全ての思考、技術そして才能とともに旅をする。それは新しい世界、けれど心の内なる世界を探索すると考えて下さい」 Henantierは自己鍛錬の為にその物騒なDreamworld Amuletを作ったらしい。彼女は詳細は分からないがDreamworld Amuletが夢のパイプ役であることは断じた。彼が夢の世界に入って3日たち、彼女はその間、離れることなく彼を観察し続けたが全く起きなかった。Henantierを救うにはDreamworld Amuletを付けて眠り、何が起きているのか調べるしかない。 「何故?あなたはそれをしなかったの?」 私がそれを問いたずねた時、つぶやいた彼女の声は余りにも切なく悲しいものだった。私たち、ヒト種からはArgonianはどうしてもシニカルで冷淡に見える。それは間違いだ。彼ら、彼女らにも豊かな精神がある。この時ほどそれを思い知った事はなかった。 「私は、彼が知る者には彼を救う事はできないのではないかと怖いのです。私は彼の記憶の中にもいますから、私を夢の中の空想として相手にしないのではないかと」 そうかもしれない。夢の中の知人が本当に本人であるかどうかなんて誰が知ろう。目の前の恋人が自分の空想の産物だと思いこんだら…あまり考えたくないわね。 「唯一の方法は見ず知らずのヒトが彼の夢に入ること。あなたにその用意ができているならお守りを渡します。私だけがそれを彼の首から取り外す秘密の方法を知っています」 「Henantierに何を?」 私の即答にKud-Eiは驚いたよう。私は絵の世界に入り込むなんてデタラメな体験をしたこともある。それに比べれば夢の世界なんて他人の庭を散歩する程度のことだ。 「ああ私のHenantier、すぐに救いがあなたのもとに」 夢の中の彼に会う方法は単純で、只となりのベッドで寝るだけでいい。あまり離れるとお守りが旨く働かないらしい。只、夢の中はHenantierの訓練用ということを考えれば、おそらくロクな目にはあわないだろうと。まぁ所詮、夢は想像。したがって想像も出来ないようなモノは出てこないだろ…と、この時私はHenantierという男を舐めていた。後で思えばこんな物騒なモノを作った奴がマトモな魔術師であるわけがないのに。 眠っている間の世話はKud-Eiがしてくれる事になったのだが、 「あ!すっかり忘れてました。びっくり。Henantierは以前言ってました、夢の中で死ぬと誰でも本当に死ぬそうですよ。じゃ、気をつけて」 おい!ちょっとまてぇ! …まっとうに見えて、彼女もギルドの人間だ、間違いない。 その夢の中。 「僕は道に迷ってる。この場所はよく知ってるようにも見えるけど。どうやって来たんだろうか、憶えてないんだ。君、教えてくれるかい?」 くそ、このドングリ頭。 「あんたの夢の中よ」 「ここは何か変なんだ。夢の世界って言ったか?ならそれは悪夢だ。僕はこんな場所は好きじゃない。僕はこんなとこにいちゃいけないって気がするぞ。出口がどこか近くにあるんじゃないのか。調査しなくちゃ。あ、でも僕にそんなことする勇気があるかな」 何、ゴチャゴチャ言ってるのよ、煩いわね。くそ、ロクなもんないぞ。 「僕は何か不注意だったのか?何が問題なんだ?僕は何か失ったとは分かる。そう、そうなんだ。僕はこの見知らぬ世界で沢山のものを無くした。君、僕を助けてくれないか?」 助けてやるからこっち見るんじゃないわよ! 夢の世界に入ったら、当のHenantierにすぐ会えた。そこはボロ屋の一室で、こいつが目の間にボ~と立っていた。記憶が飛んでしまって、自分の身に何が起きてるのか全く理解していない。だが、そんな事後回しだ。私ははっちゃきこいて散らかってる部屋をあさって服をかき集めていた。何故裸なのよ! 幸い、いくつか女物の衣類が部屋にはあり、それでさらしものは避けられたが、こいつは見やがった。すでにところどころ記憶が欠落してるらしいが、いっそ全て消し去ってやりたいぞ。 とりあえず暗視の呪文を使おうとして愕然とした。なんと魔法が使えない。…思った通りHenantierは根っからの変わり者だ。私も剣にこだわる魔術師だが、使うときには遠慮無く使う。こんな自虐趣味はないぞ。 散々な目にあいながら辿り着いたゴールとおぼしき場所には光り輝く黒い球という、一度ゆっくり調べてみたいようなモノが浮いていた。それを手に取ると唐突に視界が暗転して元の小屋に戻ってきた。Henantierが変わらずわめき散らしている。なんだか分からないがこれがこのゲームのルールらしい。罠を突破して妙な球を回収すればクリアだ。クリアしたステージのドアは錠がされてしまう。あたらめて調べてみるとこの小屋には階下があり合計4つのドアがあることが分かった。少量だが回復用の食料やポーションなども置いてあった。彼が根っからの自殺願望者でなくてよかったわよ。 4つある扉のうち3つは知力、体力、時の運とでも言えばいいのか、少なくとも魔術とは全く関わり合いのない、あっても私には理解できないゲームだった。仕掛け自体は皆、単純なものばかり。けれど仕掛けが単純だから抜けるのも簡単とはいかない。これを考え出したHenantierは筋金入りの変態だ。私は3つのステージをクリアして残る最後の一つ、いかにもな感じの大きなドアをくぐった。 最後のドアの先には装備品が置いてあった。服ではなくちゃんとした武具だ。残念ながら私の所持品ではない。武器もあるが普段私が使っている両手剣はなく戦斧と短剣と杖。でも何もないよりましだし、何よりここでは魔法が使えるのだ。試しに4号を召還してみたらちゃんと応じた。となるとこの先には戦う相手、つまり敵がいるってことか。 通路を進んでいくと…私はここ知ってるぞ。何も支えてない太い柱。鋼鉄の柵。円形に配置された観客席。アリーナだ。そこに2体のミノタウロスが待ちかまえていた。…つくづくあのドングリ頭の考える事は理解できない。 告白します。このとき私は大変荒んでいました。ごめんなさい。 ミノタウロスを撃破して本家のアリーナには存在しない階段を上るとそこに最後の球があった。それに手を掛けるとお馴染みのボロ小屋へ。するとHenantierはようやく正気に戻っていた。 「僕はなにかずっとここで罠にかかっていたような気がする、わけも分からず」 「あんたの夢の中だって言ったでしょう」 「しかし…どうやって?君の行ってる事が正しいとすると…どうも変だ」 正気にもどったものの記憶はまだ混乱しているようだ。 「そうか、君の言ってる事は嘘ではない、真実なんだな…そして僕は馬鹿だ。そのお守りが僕にこういう力を及ぼすとは考えても見なかったんだ」 あら、正気のこいつは意外とマトモに見えるけど。…信じるな、あたし。こいつもギルドの人間だ。 「僕は自分の欠点を克服する手段を作ろうとしていたんだ。でも、テーブルが回ったらしくて、あいつらは僕のほうを攻略してしまった」 物騒な品とは思ってたけど、術者を食い物にするのかこれ!このでかい宝石には何が封じてあるんだ?うわぁ、知りたくもない。さっさとはずしたいぞ、こんなもの。 「君がどうやって助けてくれたのかは分からないけど、でも、感謝するよ。まず僕らは夢から醒めなくては。現実の僕たちのところへ返らなくちゃ。また会おう」 いいから!そんなものは後回しにしなさいよ!さっさと出ていきなさい! 現世に復帰した私は、何故か又、裸だった。 私は服を着てHenantierの家から通りに出た。Kud-EiとHenantierは仲睦まじく並んでギルドの扉をくぐっていった。それはそれで微笑ましい光景ではあるけれど、やっぱり魔術師ギルドなんてロクでもない連中の集まりだ。ちょっと関わっただけでこの始末… 忘れてたわよ。私はその魔術師ギルドに入会しに来たんじゃない。待ちなさい、Kud-Ei!
by yamanobe26
| 2006-04-25 00:00
| Oblivion日記本編
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