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クエスト名『Oasis 3』
すごいぞ!○ピュタは本当にあったんだぁー…と感嘆したのも束の間、実はしっかり汚染地帯であると判明したOasis。険しい岩山にひっそりと隠れる似非憩いの森で待っていたのは自殺願望を持つ大木だった。 「大マジで。俺を殺ってくれ」 「何故?」 「判るだろ。俺はもう20年以上もここに足止めされてる。しっかり地面に根を降ろしちまったんだ。友達と言ったらBobと、俺を神だと思ってるあっちの変人どもだけだ」 「…」 初対面で鉛弾を撃ちこんでおいて何ですが、彼は害を為す怪物でも悪党でもなさそう。無論、私の敵でもなし。既に人間とは呼べない姿であろうと「はい、判りました」とは答えにくい。そもそもマグナム弾ですらかすり傷しか負わせられない相手を容易く殺れるとも思えないですし。 「自殺したければご自分で…」 「だから!どうやってやるんだ?俺はほとんど動けないんだぞ!ありがたいことに、俺はもうずーっと何にも出来やしないんだ! 彼は硬化した皮に覆われた身体をギシギシと揺らして声を張り上げた。 「…」 「ゲフォ、ゲフォ…俺を始末する方法は一つしかないと思う」 「あ、スルーした」 「どう言えばいいかな…俺は以前より“広がった”感じがする。Bobの奴が中身を押し出したらしい…ゲフォ、ゲフォ」 「…?」 「何が何処にあるのか判りづらいってことだ…いや、まぁ体の中身なんてそんなもんだろうけどよ。とにかく、Bobが臓器のいくつかを根っこのほうへ移動させたんだろう。地下へ潜って俺の心臓を殺ってくれ」 「パス」 「何?」 彼はTreeminderにとって神同然である。いくら本人の頼みでも、手にかけておいて村から無事には出られるとは思えません。 「あぁ、彼奴らのことなら気にしなくいい。お前さんが下に行くと決めたら、俺がBirchと他のタコどもにちょいと言って聞かせる。普段はまるで言うことを理解しない連中だが、大丈夫。ここに来させる」 「ノン。先に村人に相談してから決めます。よろしい?」 こちらが頑として首を縦に振らないので、彼もこの場での説得を諦めた。 「いいだろ。変わった頼みだとは承知してる。まぁ、俺もヘンテコな木だしな。いや…Bobが、だけど。いつでも歓迎するからな。もう誰か来るのを待つのは嫌なんだ。何年かかるか判らんし…お前さんでケリをつけたい」 「で、貴方のことは何て呼べばいいのかな?Bob?Herbert?」 「いやいや、Herbertは木の名だ…本当はBobだけど、俺はHerbertって呼んでる。可愛らしいだろ?俺もここにいる、俺の残りカスが。名はHaroldだ」 一人?残されたHaroldの呟きが耳に残った。 いやはやなんとも。Oasisは奇々怪々な出来事ばかり。 言うまでもなく、"彼"こと自称HaroldとBobが村人Treeminderに神の如く崇められているのはこの緑豊かな森を創造したから。汚染地帯でも成長を続ける樹木の存在は確かに奇跡的ですが、その原動力はかつてHaroldが被ったという緑色の何か、おそらくはFEVでしょう。ここの樹木はいわば植物のSuper Mutantなわけで、そら逞しく育つはずだわな。 HaroldとBob自身はGhoulのようだけど、いずれにしろ寿命で死ぬにはとんでも無く時間が掛かる。ただ突っ立てるだけでいい、飲まず食わずで数百年も生きられるのは幸福なのか不幸なのか。当人の意見としては死んだほうがマシってことらしい。 住人を捜して奧へ入ると言い争う男女の声が聞こえてきた。 「あの者は我々を敵から護る為にここへ来た!Wastelandからこの地を隔離し、安全を維持する為に!簒奪を防ぐ為にじゃ!」 「贈り物を独り占めしておいて、どうして平和を説くことができます?それは"彼"の望みではありません!」 「このままこの奇跡の地が広がれば、我々は"彼"を危険に晒すことになる。それは認められん…断じて認めん!」 口論の主はTree Father Birchと奥方Leaf Mother Laurel。相手の顔もロクに見えない暗闇で良くやる。黙って聞いていたらこちらにお鉢が回ってきた。 「そなたが何故この地に呼ばれたのか、儂は理解しておる。家内の考えは別にして、そなたがOasisの為に最善の行動をとるであろうと。そなたを選んだのは"彼"なのじゃからな。そして"彼"は我々を危険な状況へ導くのを良しとしない」 「"彼"は自分を只の人間だと言ってますけど、ちょっと運の悪い」 「うむ、"彼"は我々を試している、そなたもだ。荒唐無稽な物語を聞かせ、そなたの信頼の強さを量っておられるのだ。神ならざる者にこのような森を作ることが出来ようか。案ずることはない。すぐにそなたにも判るようになる、儂のように」 「…」 ははぁ…HaroldがTreeminderをアテにしない理由が分かった。Birch老は分厚いフィルター越しにHaroldを眺めており、彼の言葉をストレートに受け取ることが出来ないのだ。 「ここ最近の"彼"との対話は難解なものになりつつある。"彼"は自らの将来を憂いておられるのじゃろう。偉大なる者の影響力は広がり、間もなくこの静かな谷の内から解き放たれる」 「Fatherはそれが危険だと?」 うむと頷いてBirch老は赤い液体の入った小瓶を取り出した。 「そなたが飲んだものと同じ樹液じゃ。"彼"の心臓にも効くなら拡大を止められるはず。儂は"彼"に危害が及ぶのを避けたい、それだけなのじゃよ、お客人。それ以上でもそれ以下でもない」 返事も聞かず、小瓶を押しつけてBirch老は去った。 「夫を愛してます。ですが時折、視野が狭いのではないかと思うときもあります。"彼"の力を広めることは罪ではありません。それは素晴らしい奇跡…Wasteland全てにとっての利益となるはず」 確かにMother Laurelの考えはより大局的なのかもしれないが、彼Haroldの願いとは真っ向対立する。ぶっちゃけ、話を聞かないことにおいてMotherはFatherに勝る。「何故、"彼"の願いを聞かないのか?」と問うてみたが全く無駄だった。 「勿論、聞いていますとも!"彼"は奇跡を全ての世界で共有したいと願ってます。生命の贈り物を不毛の荒野に返すのを。それは決して"彼"を失うことではないのに、夫はその辛さから目を背けているのです。ですが、貴女がここにおられることで風向きが変わるのを感じます」 Motherは緑色の液体が入った小瓶を差し出した。 「これは?」 「夫が貴女に何を望んだかは知っています。これは私からの選択肢。樹液を作った者が同様に処方した塗り薬です。貴女が"彼"の心臓へ届けることが出来れば、"彼"の影響力を増大させる働きをします」 天啓を受けた予言者の如く、清々しい表情でMotherは言い切った。 「数百年と言わず、僅か数十年でこのWastelandは緑に覆われるのです!それがどれだけ素晴らしいことなのかお分かりになるでしょう!」 「…」 結局、互いの意見がそり合わない二人の指導者は、難題を外から来た客に丸投げして静観を決め込んでしまった。 村人は家族同然、FatherとMotherは教義的な意味を越えて父、母と慕われている。決して夫婦仲が悪いわけではなく、指導方針を巡って意見の相違を見るのは二人とも責任感が強い故。夫妻の仲違いは時に何ヶ月も続くのだそう…って、それで本当に仲が良いと言えるのか甚だ疑問だ。 話を聞くと村人の間でも、一人を除き、意見が割れた。 Treeminder唯一のお子様Sapling Yewはこの森で生まれた。FatherとMotherの実子ですと。あの二人おいくつでしたっけ、という素朴な疑問はさておき。彼女は他の村人とは違いHaroldを年の離れたお友達として慕っている。 「それでね、私は何が怖いのかを彼に話すの。すると彼も自分が何を怖がってるのか教えてくれる。私は一人っきりじゃないって安心出来るんだ」 「彼にも怖いものがあるの?」 「お姉さんにはないの?」 「あるわよ。蟹は苦手かな」 「あはは!外に住んでる人は怖いモノなんてないと思ってた。Haroldはね、火が怖いの。火がついちゃたら、彼もBobも燃え尽きちゃうって。だから炎を遠ざけてる」 「そうなの」 どんなに固かろうと木は木、身体は炭素で出来ている。ダイヤモンドだって燃えるのだ。 話をまとめるとこう。Haroldの願いを叶えて彼を殺すか、Fatherの樹液で代謝を低下させて森の拡大を防ぐか、あるいは逆にMotherの軟膏で活性化させて森を谷から解き放つか。あちらを建てればこちらが建たずと一見三択のようですが、実のところ指導者二人はHaroldの言い分をトンチンカンに受け取り、各々勝手なことをほざいてるだけなので考慮する必要はない。ないんですけどねぇ… 「うんにゃ…連中のことを語らせるのはやめてくれ。一日中だって話せるが、哀れな老Bobがおかしくなっちまう」 「ご愁傷様」 「あいつら、本当に人の話を聞かねぇんだよなぁ。何か簡単なことを話す分にはマシなんだが、そうでないとBirchなんざ隠れた意味とやらを探すのに一週間はかける。そのうえ勝手にやって来ちゃわけの判らんことを繰り返しやがって。時折な、からかってやろうと思って黙って無視してたんだ。それはそれで面白かったが、もう飽きたよ」 異なるベクトルで話すHaroldとTreeminderの対話劇は想像に難くない。さぞやシニカルなコメディでありましょう。 「外からここに来たのは私だけじゃないんでしょ?他の客はどうだったの?」 「アハハハ!!どう扱われたか?聞いて驚け。Poplarの婆さんが作った拙そうなネバネバを飲まされるとな、ある時は気が変になったみたいに辺りを走り回ったり、またある時は目覚めて俺の姿を見た途端に…ヒーヒヒヒ!逃げ出した奴もいたっけなぁ!」 「悪趣味」 「俺に言わせると外の連中も負けず劣らず面白いよ、Treeminderといい勝負だ」 枝を揺らしてHaroldは笑い声をあげた。 「俺は…多分20年か30年、Bobのおかげで文字通り根を張っちまってここにいる。もうロクに憶えちゃいない。想像出来るか?一箇所に釘付けにされ、読むことも食べることも横になることも出来ないなんて。なのに、あのTreeminderたちは毎日毎日どうでもいいことで俺を悩ませる。もう沢山なんだ!」 「神様なんて贅沢な立場じゃない?」 「あぁ、あぁ、あぁ!俺もそう思ってたさ…最初はな。歌を歌わせたり、間抜けな踊りをさせたりして暇を潰したもんだ。BobなんざMapleを丸一日逆立ちさせたこともあったんだぜ!」 哀れな。村の門番を勤めるそのMapleが命がけで彼を護っているのですが。 「でもしばらくするとそれも飽きて、しまいには鬱陶しくなるんだよ。今じゃ、腹立たしくさえ思える!お前さんがOasisの方へ向かってきたのを見たときは、今度こそ俺のことを理解して貰える、そう思ったんだ。どうやら間違っていたようだが」 「見た?どうやって?」 「出来るんだ。そういうことが。もしくは退屈すぎて頭がいかれただけなのかもしれんが。その気になれば全ての木の全ての葉で周囲を見ることが出来る、目のようにだ。Bobの奴は嫉妬するけどな、俺にとっちゃコイツが最初の木だから」 木が他の木に嫉妬する。最早、理解の外だ。 HaroldがTreeminderから大いなる誤解を受けることになったのは、彼自身にも非がある。昔、調子に乗って神を騙ったと白状した。この場所から動けなくなったのは身の不運でも、“退屈”に関しては自業自得と言えないこともない。かといって、何十年も身動きのとれない者に聖人君主たれと説くのは残酷だ。 「いやいやいや!火は酷すぎるだろ、Bobが…いや、俺も可哀想だ!勘弁してくれ!心臓を頼むよ、何も感じないからさ」 「どうせ枯れたら薪にされる。順番がちょっと変わるだけよ…さてと」 「あん!?」 「Treeminderの中には崇めるだけでなく、貴方を慕ってる者もいるでしょ?」 「いるよ。あの娘が一番いい。Yewって名だ。時折、ここへ忍び込んで俺の話相手になってくれる。Bobの奴もかなり気に入ってるぞ。彼女は俺を和ませてくれるからな」 「貴方を傷つけないでってお願いされた」 「…」
by yamanobe26
| 2009-09-23 18:33
| Fallout3日記
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