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クエスト名『Galaxy News Radio 2』
無人の廃墟と思われたビルより不意をついてSuper Mutantが現れた。瓦礫が邪魔で直ぐには追ってこれない。今ならまだ逃げられる、引くか進むか迷った次の瞬間。 「心配しなくていいさ。我々はBrotherhood of Steelの最強部隊だからね。あの“ブサイク”どもがどうなるか見物してな」 兵士達は皆、Friendship駅で遭遇したOutcastとは異なる、鉛色のPower Armorを装着している。マスクで顔は判らなかったが、声は気の強そうな女のものだった。その背中に男の兵を挟み、もう一人。薄く赤みがかったブロンドをポニテに纏め、冷たいブルーの瞳と型の良い眉で周囲に睨みを利かせる女性兵士が立っていた。 「良く聞け。君らが何者かは知らんが、ここは危険だぞ。Super Mutantがラジオ局の仲間に群がってる。我々は彼らの援護に向かう。着いてくるのは自由だ。だが、頭を押さえて余計なことはするな」 口調こそ丁寧でも、キンパ碧眼の女が私たちを歓迎していないのは明らか。「馬鹿なことをするな」と重ねて繰り返した。しかし、こちらにも聞かねばならないことがある。 「助かりました。あなた達は一体?」 「私はLyons隊の隊長、Lyonsだ。心配するな、味方だ。少なくとも私はそう思ってる」 「Lyons隊長、あなた達はBrotherhood of Steelなんですね?」 女隊長は軽く頷いた。 「名はSarah Lyons、部隊の指揮官、Brotherhood of Steel所属。この地区へのMutantの侵入阻止に尽力している。そこへ民間人が勝手に入り込むと仕事が増える。意味は判るな?」 “お前の父親、Brotherhood of Steelのダチ、そしておっぱいをしゃぶってたお前がな” Megatonの顔役Colin Moriartyの言葉が蘇る。 「Brotherhood of Steelが何故ラジオ局を護ってるんです?」 「廃墟に安全な場所などないが、我々にとってGalaxy News Radioは嵐の際の港だ。現在襲撃中だが、援護がいる。質問がないなら失礼する、先を急ぐのでな」 返事を聞く間も惜しいとSarah Lyonsは大口径のレーザーライフルを掲げてビル狭間を走り去り、慌てて部下たちが続く。大好きなコミックから抜け出たようなSF装備を纏う兵士たちの姿に瞳をキラキラさせるBryanを促し、私たちも後を追った。 “クリア。五匹があの世へ逃走、残りは大人しくしてる” “いいだろう” “新入りで?” “拾っただけだ、42番街でブサイクどもの巣に入り込んだ迷子だよ” 集合した兵士の報告を受けながら、Sarah Lyons隊長はチラリとこちらに目を向けた。「何故着いてくるんだ」と言わんばかり。それも一瞬、通路の奧を睨み付け「進め」の合図を出すと、自ら先陣を切った。 のんびりと隊の後ろを着いて廻る私を訝しんで、銃声と怒号にビクビクしながらBryanが聞いてきた。 「邪魔するなって言われちゃったでしょ。戦争は兵隊さんのお仕事。私はジャンク屋ですから。ほら、これ持ってて」 回収した金目のものを手渡す。死体漁りが仕事だと言われても、Bryanは納得していないようだった。 数分後、徐々に銃声が止み喧騒が途絶えた。ラジオ局前の戦闘が終わったらしい。お仕事、お仕事と廃ビルの出口へ向かう途中。ようやく静まった戦場の空気を再び揺らす不気味な轟音が響いた。低く重い、まるで分厚い鉄板にでかいハンマーを叩きつけるような、振動。 身の丈Super Mutantの二倍強、超重量の巨躯を支える逞しい両脚がコンクリートの道を粉砕しながら前身する。 広間をちょこまか逃げ回るうちにさしもの巨大Mutantも分厚い弾幕に屈し、ぐるりと横転、あやうく下敷きにされるところだった。 「今度はこっちがお礼を言う番ね」 Behemothと呼ばれる、骸となったMutantの周りに兵たちが集まってくる。中にSarah Lyons隊長がいた。初対面で見せた鋼のような印象をぬぐい去り、今は幾分和らいだ表情を浮かべてる。 「何故、Brotherhood of Steelに?」 口をへの字に曲げるのを止めた彼女は意外なほど優しげな女性に映る。日焼けして荒れた肌を露出していなければ兵士には遠い容姿なのではあるまいか。ふとそんな気がした。対する彼女の解答は潔いものだった。 「このWastelandをMutantどもの殺戮と破壊から護る者が他にいて?Brotherhood of Steelは優秀よ。でもまぁ、それでも時々あるわけだ…面倒事が。そんな時は我がLyons部隊の出番」 自分は根っからの兵士だからと今度は誇らしげに笑った。 そのThree Dogは三階のスタジオ兼住居の階段前に仁王立ち。何故か私を待ち構えていた。 「…」 「さぁ、毒される準備はいいか?」 彼はニカっと白い歯を見せた。 「俺がThree Dogだ。DJにして真実の伝道師。Wastelandにその名も高き最高のゥレイディオステエーションのオーナーにしてキング、Galaxy News Radioのな。そしてお前さんは…知ってるぞ、俺は。例のVaultを抜けだした、正体不明のトラベラー。親父そっくりだ。あぁ、会ったことがある」 お前の父親はここに来た、とThree Dogはあっさり認めた。 「いいんですか?正体不明の女にベラベラ喋って」 「善なる闘いをする者は得たもの残らず与えよ、けちるべからずってな。全ての者に光を、いつも言ってる。全ての者に光を与えん、そしてこの言葉を広めよと」 「善なる闘い?」 「絵を思い浮かべてみろ。この土地の絵だ。レンガと岩だらけ。それ以外に何にもない、違うか?」 「…」 「人々は辛うじてしがみついてる、毎日、毎日。生き残る為に、何かを作り出す為に戦ってるんだ。だが、ありとあらゆる不届き者もいる…奴隷商人、Super Mutant、Raider…連中はパイの分け前を欲し、力ずくで手にしようとする」 奴らは悪、善なるものの敵。それが闘う理由だとThree Dogは主張する。 「貴方もその“善なる闘い”に赴く一人だと?DJで?」 「急くな、急くな。Three Dogは吟遊詩人なんだ。しばし耳を傾けよ、さすれば彼は汝が魂を鎮めてくれる」 吟遊詩人ってより、ラップに拘る宣教師みたいだけど。 「長生きできませんね」 「あぁ、敵ならごまんといるさ。俺の目玉に弾を撃ちこむ以上のお楽しみがない連中がな。何故そうならないかというと、Sarah LyonsとBrotherhood of Steelがいるから。俺たちは甘い蜜月状態でね、俺を野晒しで眠らせない代わりに頑丈な屋根を提供してる」 「彼女らは何者なんです?」 「俺が知ってるのは、お前さんみたいなのを助けてる連中だってこと。Super Mutantを片づけて、お前さんみたいな人間を俺みたいな人間と無事会えるように廃墟を護ってる。彼らなしでは俺たちは“クソ人類”に屈してる」 「…なるほど。では父のことを」 この男の能弁に付き合ってると日が暮れる。強引に話の方向をねじ曲げたのだが。伝説のDJは顔色一つ変えずに受け流した。 「すまんな。返事のないオーディエンス相手に話してばかりいるんで、お前さんもずっと俺の声に耳を傾けてくれると勘違いしてた。…父親が何処にいるのか知りたいのか?オーケイ。善なる闘いにはルールがある。助けが欲しければ手を貸せ」 汝全てを与えよと嘯きながら、今時の正義はビジネスライクだ。 「最初からそう言って貰った方が気が楽ですよ。何をすればいいんです?」 「結構。だが、“楽”じゃないぞ」 「判ってます」 楽な仕事が残ってるほどこの世界に余裕はない。百も承知と頷くと、Three Dogは唱うような軽やかさで仕事の説明に入った。 「Galaxy News Radioは俺のベイビーだ。愛し、育て、成長させた。だが、一つ問題がある。D.C.の外までは彼女の泣き声が届かない。判る?脳筋のMutantはWashington Monumentの上にあるピアピカ光ってるヤツが射的の的に見えるらしい」 「アンテナのこと?」 「イエィ、光ってるのはウチの中継設備さ、今現在は穴の開いたチーズだが。あれがないと放送は極めて狭いエリアに限定される。勿論、備品を作ってた工場はとっくにお亡くなりだ。しかり、替わりを拾ってくることは出来ない」 では、どこから手に入れるのか。Three DogはMuseum of Technology、博物館に陳列された月着陸船、そのアンテナをガメてこいですと。Brotherhoodの一人が見つけたそうだ。それをWashington Monumentの壊れたアンテナと交換すれば、汝は“善なる闘い”に参加したとみなし、ダディの情報を渡すと約束した。私はその条件を呑んだ。 「そこは弟と言いませんか、普通」 自分から取引を持ちかけた手前、渋々ながらでもThree Dogは引き受けざるを得ない。 扉を開けてビックリ、ここが一階だと忘れる光景が広がっていた。地面はずっと下。進むだけで戻れないとは聞いていたけど。Galaxy News Radioのビルはえらく高台にあり、僅かに残った足場を飛び降りることになる。帰りは別の道を探すしかない。やれやれ、だぜ。
by yamanobe26
| 2009-03-25 21:15
| Fallout3日記
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