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クエスト名『Those!(前編)』
この子、確かポトマックの川底でヌラヌラ睨んでた… 男の子は必死に訴えかけてくる。 『あいつらが…あいつらだ!来るんだ!怖いよ!止めさせて!』 「ご免ね。落ち着いて話して貰えないかな」 『だからあいつらだってば!全部あいつらのせい!あいつらが悪いの!』 どんなに宥めすかしても少年は闇雲に“あいつら”を繰り返すのみ。さっぱり要を得ないというか、はっきりウザイ。 「そう…判った。じゃあ、お姉さんからも一言いっていいかな?」 訝しげに目をパチクリする少年に精一杯のスマイルプラスで優しく諭してあげる。 「何よそれ。脅迫してるつもり?」 『ほらみろ!やっぱりだ!どうでもいいんだろ!もういい!行っちゃえ!思い知れ!あいつらを…あいつらがアンタを掴まえる!』 お子様という生き物は攻撃的であるがゆえに打たれ弱い。…いけません、こう見えて私は“Child At Heart”子供心を理解する女。 すっかりヘソを曲げたBryan少年は機嫌を直そうとしなかった。 「嘘だ!大人はいつでも謝るけど、みんな嘘ばっかり!どうしたら大人をまた信用できるようになる?ボクが悪いことした時、パパは三回謝りなさいって言ってた。本当に謝ってるかどうかそれで決めたよ」 三度…ま、まぁ、信頼回復に真摯な姿を見せるのは大人の務め。そのぐらい余裕ですとも。 「はいはい、私が悪うございました」 「フン、まぁまぁだね。ほら、続けなよ」 訂正、Child At Heartを持っててもガキの我が侭にはムカつく。なにが怪物、怪物よ。そんなものそこら中にいるじゃない。 漁ってみると家屋にはアサルトライフル、それに弾薬が豊富に残されていた。子供部屋にまで実弾と短銃が置かれてる。随分と物騒な家ですね。Fredの骸からは家の隣にある物置のキーが出てきた。 “Batch A27は完全に失敗だ。最初の処方に戻り、再び一からやり直さなくてはならない。おそらくは適切な研究設備がないことがこの状況を生んだ。あるいは正しい遺伝命令を継承しなかったのか、単に私が疲れているだけなのか。いずれにせよ、A27は失敗作と判明した。すぐに新しい処方を導入せねば、私の仮説が実を結ぶのをこの目で見ることは叶うまい” “Marigold駅で実験に最適なサンプルを発見した!地下に準備用の作業場を設けることにした。後はロボットに多少のプログラムを施しさえすればデリケートな投与を実行出来る。間もなく私は、私の手法こそが誤って認識された存在の破滅に対する現実的な代案であると証明するであろう” “私は自然に干渉する危険性を認識している。「神を気取る」ことのレトリックと誇大妄想は聞き及んでいる。しかしながら、私はこの哀れなるものたちを無害であった立場へ戻し、減らす決心をした。遺伝子のリコード、ただそれのみが可能にする。必要なのは適当な被験体だ。処方を微調整しつつ、探索を続けよう” …はて、話がさっぱり見えません。どうもレトロウイルスを使って何かの実験をしていたようです。…“誤って認識された存在”? Bradiceの日記によると(彼はどこぞの組織からの逃亡者らしい)、以前からGrayditchの街は深刻なアリ被害を被っていた。その頃はあんなとんでもない化け物ではなく、まだノーマルなアリだったそうですが。各家に多数の武器弾薬が残っているのは、住人が武装して被害をくい止めていた為。そんな中、ある日Bryan少年の家に何処からかやってきたDr.Leskoが転がり込む。おそらくはアリ問題の解決を申し出たと推測されますが、Bryanの父親は家の隣に納屋を建て、そこを研究室として提供した。ところが。事態は収束するどころか更に悪化し、アリが尚いっそうに凶暴化、遂には火を噴くまでに変化した。日記はBradiceがアリに囲まれ、進退窮まったところで終わっている。 つまり“誤って認識された存在”とは蟻ん子で、火を噴くようになったのはDr.Leskoがアリの遺伝子に細工をしたせい…遺伝子いじくったぐらいで火を噴くようになるとは思いませんけど。 先ほど殴りつけたので、当たり前に機嫌はすこぶる悪い。 「ご免。謝るから」 「ボクが悪いことした時、パパは…」 ウ…そっからなのね。 指示通りきっちり三度謝るとBryanはようやく表情を和らげた。 「え…何?なんなの?」 「あなたのパパ、死んだわ」 「パパが…死んだ?」 Bryanは泣き出さんばかりに顔をしかめたものの、涙が零れ出すことはなかった。握りしめた拳が震えてる。 「…知ってたのね」 地面を見つめて小さく頷いた。 「判ってた。でも、もう泣くのも疲れちゃったし」 「何故、街を離れなかったの?」 「パパはいつも言ってた。“人生、やりたいことをやれ。でも家族を忘れるな”って。出て行けば逃げたことになる。そんなのいやだ。ボクはパパに約束したんだ」 涙を溜めた瞳をあげ、少年は言い放った。 「…偉いね」 Bryan Wilksにとってはまだ終わってない。理不尽な暴力は彼の心に棘となって突き刺さったままだ。傷は残っても棘は抜いてあげられる。 「二度と他の家族が同じ目に会わないようにしてくれる?」 「えぇ」 「もっと前に会えてればよかった。そうすればきっとパパも死なずにすんだ…」 運命を呪う言葉は私に向けられたものではないけれど、自然と謝罪が口を突いた。 「ご免」 うちとけたBryanは様々なことを話してくれた。 彼と父親は一年ほど前からGrayditchに移り住んだ。残念ながら今時の首都中央に近い場所は余り居心地が良いとは言えない。D.C.の廃墟は日々、人間とMutantが血で血を洗う戦場と化してる。Wilks家も引っ越しを考えてる矢先だった。Dr.Leskoがフラリと現れ、Bryanのパパは報酬目当てで彼に協力した。 「よく知らない。なんなんだか。沢山電球のついた箱やなんか変なガラスの瓶みたいなの…あ!そう言えばでかいポンコツがいた、ぴかぴか光ってて。あれは格好良かった」 ロボットのことらしい。 「Drが来てからアリが火を噴くようになった。彼のせい?」 「そんなはずない、Drはいい人だったよ。遊んでくれたことはないし、あんまり話もしなかったけど。あのアリたちが現れた頃から姿を見てないもの。きっと…死んじゃったんだ」 「…そうかもね」 ポッドは空だった。Dr.Leskoがロボットを連れてMarigold駅に設けた作業場に入ったのは間違いないとして…果たしてDrは死んだのか?。それを知るには“蟻の巣”に潜ってみないと。 「一人で心細いだろうけど、頑張って。外で私が見張ってる」 「あは、パパみたいだ」 「…せめてママにならない?」 泥と汗に汚れて色を失った少年の頬に少しだけ血の気が差した。 「あのね、役に立つかどうかわかんないけど、レストランの裏にあるゴミ箱にパパがいろいろ隠してた。カギはボクが預かってる、万一の時の為にって。でも、お姉さんが持っててもいいよね」 小さな手に握りしめた鍵を差し出し、真っ直ぐに見つめてくる。 「励ましてくれてありがとう」 「怖かったら耳を塞いで寝ちゃいなさい。起きた時には片づいてるから」 鍵を受け取りシェルターの扉が閉まると同時に、背後からカサカサとアスファルトを掻き鳴らす音が迫ってきた。
by yamanobe26
| 2009-03-18 20:50
| Fallout3日記
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